持続可能なまちを目指す南三陸町で、新たなごみの資源化実験開始。

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東日本大震災で壊滅的被害を被った南三陸町は「持続可能な地域社会」に取り組んでいます。住民が提案した「森里海ひと いのちめぐるまち 南三陸」の実現化に向けた一手!環境(ごみ課題)とコミュニティ(住民交流)の実証実験が始まりました。

背景1 かさむ南三陸町のごみ処分費用

2015年に運用が開始した南三陸BIOでは、可燃ごみとして出していた生ごみを分別して収集を実施。集まった生ごみやし尿汚泥などをメタン発酵させることによって、エネルギーと液体肥料にする取り組みが続けられている南三陸町。ごみの資源化の動きはさらに強まり、10月より新たなごみの分別に関わる実証実験が志津川地区でスタートしました。

それが「MEGURU STATION」(めぐるステーション)。志津川東復興公営住宅一角の敷地を利用して二ヶ月間、実験が行われています。

今回の実証実験は、燃えるごみを5種類分別していただき、資源として循環利用できるものを町民の皆様自らお持ち込みいただくシステムです。同時に、利用された方には『感謝ポイント』を付与して一服したり、趣味のコーナーを併設して楽しんでいただけるよう様々な機会を作ります。

燃えるごみの新たな細分化は下記のとおりです。

◎プラスチック類(お菓子の袋、飲料のラベル等プラと表示があるモノ)
◎紙くず(鼻をかんだティッシュ・丸めた紙)、木くず、布くずなど細かいモノ
◎草木(庭で剪定した枝も)
◎廃食用油(使い終わった天ぷら油など=固めないで)
◎資源ごみ(新聞紙、チラシ、雑誌、段ボール、ビン、缶、ペットボトル、白いトレーなど16品目)

そんなに細かく分別するのは面倒くさいと思われがちですが、一度やってみるとこれがちょっと病みつきになるほど楽しいものです。

背景にあるのは、かさむごみ処分費用

こうした事業開始の背景には次のような理由があります。

1つ目は、ごみ処分費用がかさんでいること。南三陸には稼働している焼却場がありません。可燃ごみは隣町まで持っていき、処分を委託している現状があります。

しかし、運送費を含めたごみ処分費用がどのくらい財政を圧迫しているのかはあまり知られていないのではないでしょうか。平成30年度における南三陸町の一般会計予算をみると、ごみ処理関連費用は約3億3千万円となっており、医療・介護・福祉関連費用と比較しても決して少ない額ではありません。

2030年(今から12年後)になると、南三陸町の人口は約8,000人程度、高齢化率は44%を超えるとの予測も公表されています。となると、税収が減るうえに社会保障費への予算増額が必要になり、財政全体がひっ迫するのは誰の目にも明らかです。

ごみを資源に変える!

一口で資源ごみと言っても、使い道はさまざまです。例えば、缶やビン、ペットボトル・新聞紙などはリサイクルとして活用されるのはご存知でしょうが、これまで燃えるごみの袋に当たり前のように入れていたお菓子の袋や弁当トレー、ラベルなどのプラスチック類も固形燃料又はセメントに、雑誌や雑布等はセメントに、庭木・竹・草などは堆肥などに生まれ変わります。もはや紙くずや鼻をかんだティッシュペーパーくらいしか燃やせるごみの袋に入るのはないくらいです。

先進的な自治体はリサイクル率80%を達成していますが、南三陸町では16.1%(平成27年度)なのだそうです。全国平均をも下回っていますので、まだまだリサイクル率を伸ばすことができるはずです。

住民間のコミュニティの場としても機能

こうして10月より始まった実証実験は予想以上の盛り上がりを見せています。

ごみを出しに来た住民が出会い、お茶っこしたり、焼き芋を食べたり、とコミュニティの場として大きな役割を果たしている光景が頻繁に見られます。

また、めぐるステーションでは協力していただいた住民の方に「感謝ポイント」を付与しています。登録した方がステーションにやって来てカードを端末にかざすと50ポイントを付与。隣接する薪ストーブの薪割りを手伝ったら30ポイントなどもあります。

また、たまったポイントは50pで結の里の「えんがわカフェ」でコーヒーやお茶に使えます。その他、200pをあさひ幼稚園にクリスマスツリーを贈る活動に換えたり、300pで液肥で作ったお米(めぐりん米=入谷産)に換えたりもできます。

住民が主体的に分別に協力して、たまったポイントを使用することによって地域貢献につながります。ごみ分別から始まる「森里海ひといのちめぐるまち」の新たな挑戦。今後の動向が楽しみですね。

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