2012年の秋から始まった「南三陸子ども自然史ワークショップ」今年は7月21日に戸倉公民館にて開催されました。大人も子どもも、家族揃って南三陸の生き物に触れ合いながら楽しく学べるワークショップが満載!南三陸町だけでなく、県内各地、特に近隣市町から多くの人たちが会場に足を運んでいました。
海藻モンスターを探せ!ちょっと不思議な生き物たち
「なんかすごい動いているよ、こんなに動いてる!」
「この気持ち悪い虫なに?」
南三陸の浅い海底から取ってきた海藻をトレイの中に入れて、藻の周りに潜んでいる小さな生き物たちをピンセットでつまんでいく。海藻にはちょっと変わった生き物たち「海藻モンスター」がたくさんくっついています。小さすぎて大人の肉眼では見えないものも、子どもたちのほうが見えることがあるそうです。「海藻モンスター」コーナースタッフのアドバイスのもと、ワークシートに自分が見つけた生き物たちのすがた・形を描いてみたり、エビ・カニ・貝…どの仲間になるのかを分類してみたりしていました。南三陸の海の中にはいろいろな種類の海藻がたくさん生えていて、まるで森のようになっている場所があります。これを「藻場」と呼んでおり、そこでは海の中の酸素を増やして栄養分を吸収することで水質を浄化しています。海藻は貝などのエサになったり、魚やエビ・カニが産卵し、赤ちゃんが育つ大切な場所でもあります。
世界にひとつだけ オリジナル図鑑ストラップをつくろう!
「南三陸子ども自然史ワークショップ」は沢山の子どもたちに、南三陸町に棲む生きものに興味をもってもらい、自然の豊かさを知り、そこから自然への理解がすすむ事を願い、毎年行われている南三陸町の自然などをテーマとしたワークショップです。
なかでも賑わっていたのは「図鑑ストラップ」のハンドメイドコーナー。南三陸町内で採取した花や海藻、海の生き物を解説シートと一緒にレジン(樹脂)で封入してストラップにするワークショップで、特に女の子たちに大人気でした。お気に入りの花、海藻、生き物をひとつだけ選び、紫外線で固まるレジン液につける。UVライトタイマーを当てたら2分で固まり完成!乾燥しているものならすべてできるそうです。生き物図鑑の1ページのようなストラップは、世界にひとつしかない自分だけのオリジナルストラップになりました。
アンモナイトのレプリカ、イヌワシのクラフトづくり
アンモナイトは南三陸でも見つけることができる身近な化石のひとつです。ではそのアンモナイトは一体どんな生き物だったのでしょうか?「アンモナイトの化石レプリカづくり」のコーナーでは、東北大学「みちのく博物学団」の学生ボランティアの方々より、北海道の北に位置するサハリン島(樺太島)と南三陸町で見つかったアンモナイト化石の説明をしてもらいました。
そして実際に、アンモナイト化石のレプリカづくりに挑戦!カラフルなプラスチック粘土の中から好きな色を選び、ポコポコ沸いている熱湯に潜らせアンモナイトの形をした型にはめ込む。そして時間を置き、冷やしてから型を抜くとプニプニとしたレプリカが完成!手作りアンモナイト化石をストラップにして持ち帰ることができました。
別部屋の「イヌワシ・クラフトづくりのコーナー」では南三陸町の鳥、イヌワシのミニチュアクラフトを作っていました。その他に可愛らしいイヌワシマントや、紙芝居、たくさんの本・資料が展示されていて、そこにいるだけでイヌワシ博士になったような気持ちになりました。
自然の魅力を伝えていく 南三陸ネイチャーセンター友の会
今回で第8回目を迎える「南三陸子ども自然史ワークショップ」を主催しているのは「南三陸ネイチャーセンター友の会」。震災により被災してしまった自然環境活用センターの再興を目指す人たちが有志で集まっている団体です。会員メンバーはそれぞれ思い思いに「南三陸の自然」を楽しみ、野鳥観察や地質調査、植生調査、ワークショップなどを行っています。
代表の鈴木卓也さんは「震災で津波があったあと、海に近づけない子どもたちのために、生き物と触れ合える場所を作りたいという想いから始めました。南三陸の自然の豊かさを体感し、そして大人になってからも誇りに思ってもらうために、これからも毎年続けていきます」と話します。この活動は、自然を愛する同志たちが大阪、岩手、東京、宮城県内など全国各地から応援に駆け付けて実施されているそうです。運営に携わるメンバーたちは、ワークショップを通して自分たちの町に棲む生き物への興味をもってもらい、好きになってもらいたい。そしてこれからも自然を大切にしていってほしいという想いのもと、活動を続けています。
筆者自身、今回のワークショップで学んだことは、私たちが日ごろ触れている豊かな自然は、決して当たり前のものではないこと。自然の豊かさのおかげで生かされていることを忘れずにいたいと思いました。