南三陸町民憲章を絵で表現しよう!虹色アートコンクール

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南三陸町の豊かな自然をうたった「町民憲章」。そのフレーズを題材にした「虹色アートコンクール」が2017年も行われます。主催する「かもめの虹色会議」の工藤真弓さんに、実施の背景や今年の特徴を伺いました。

南三陸の豊かな自然を大切に……。その心をイラストで表そう!

「海のように広い心で 魚のようにいきいき泳ごう」。2005年に定められた「南三陸町民憲章」の一節です。この町民憲章の各フレーズをイラストにして応募するアートコンクールが、2014年に始まりました。今年で4回目を迎えます。

主催するのは「かもめの虹色会議」という町民有志による勉強会グループ。ハード面の復興事業に町民の声を反映させるための話し合いの場として、2013年5月にスタートしました。話し合いも一段落した2年目の2014年。「震災後も町には豊かな自然が広がっていることを知ってもらうため、町民憲章を題材に何かしようという話に。子どもも参加できるよう、イラストコンクールを企画することにしました」と、かもめの虹色会議主宰の工藤さんは話します。

2016年9月末の南三陸福興市で、第3回「みんなの町民憲章 虹色アートコンクール」の表彰式を実施。町民憲章のフレーズごとに大賞が選ばれ、4人の子どもたちが表彰された

「おらほのまちづくり支援事業補助金」を得て、2014年7月20日〜8月31日に「みんなの町民憲章 虹色イラストコンクール」が行われました。3歳から80歳までの幅広い世代から123点の応募があり、大成功!そこで、翌年の第2回は、イラストだけでなく立体なども含めた「アートコンクール」に格上げして実施。210点もの作品が集まりました。2016年の第3回は179点の応募が。徐々に学校の先生方にも理解が広がり、夏休みの宿題にするなど協力してくれています。

応募を促すためにワークショップも開催する。写真は2016年8月7日の歌津夏祭りで行われたワークショップの様子。遠方から南三陸を訪れた子どもたちが参加することもある

応募作品は展示会や作品集で紹介。入賞者は南三陸福興市で表彰も

集まった応募作品は、かもめの虹色会議メンバーが審査。絵の上手・下手ではなく、町民憲章の内容をよく表しているかどうかという観点で、町民憲章のフレーズごとに大賞と協賛賞を選定します。9月末に志津川で開催される南三陸福興市で、大賞の受賞者を表彰。その後ポータルセンターで絵の展示会を実施してきました。今年は、新庁舎の町民広場「マチドマ」か、ベイサイドアリーナで展示会を開くことも考えているそうです。

2016年開催の第3回「みんなの町民憲章 虹色アートコンクール」で、町民憲章フレーズ3の大賞に輝いた齋藤華愛さんの絵
2016年10月にポータルセンターで行われた展示会の様子

また、入賞作品を集めたポスターや、全応募作品をまとめた冊子も制作。冊子は、応募者をはじめ、町役場や学校、公共施設などに送られます。「おらほのまちづくり支援事業補助金」の約半分は、この冊子作りに利用されているのです。

第1回〜第3回の作品集。「回を重ねるごとに、子どもたちの作品がより生き生きと、想像力豊かなものになってきたように思います」と、工藤さんは話す

2017年の第4回コンクールは、ラムサール条約湿地登録を応援!

4回目となる2017年は、これまでの実施内容に加え、「ラムサール条約湿地登録応援」を掲げています。ラムサール条約は、多様な生態系を持つ湿地の保全を目的としたもので、正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。1971年イランのラムサールで採択されました。南三陸町の志津川湾は、震災前から「ラムサール条約湿地潜在候補地」として名前が上がっており、2016年秋に町としてラムサール条約登録を目指す方針を固めました。

海藻の藻場でラムサール条約登録を目指す志津川湾。「海藻の藻場」のカテゴリーで条約登録されれば、国内初となる

ラムサール条約では、湿地の「保全(・再生)」と「ワイズユース(賢明な利用)」、そしてこれらを支え促進する「交流・学習」を重視。工藤さんは、虹色アートコンクールによって、南三陸町の自然環境を教育として活用していることをアピールできると考えています。「虹色アートコンクールを通してラムサール条約に興味を持ってもらい、条約への理解を促進できれば……」と工藤さん。ワイズユースの取り組みとして発信していきます。

今年はどんな作品が集まるのでしょうか? 発表が楽しみです。

第4回「みんなの町民憲章 虹色アートコンクール」の作品募集チラシ。応募は2017年8月31日まで

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ライター 小島 まき子
ライター、編集者/通訳案内士。ひと・まち・食・旅をテーマにした取材・執筆および書籍編集を行う。東日本大震災をきっかけに東北沿岸部を訪れるようになり、なかでも南三陸町に魅了され、つながりを深めている。ソーシャル&エコ・マガジン『ソトコト』で東北の“いま”を発信する連載記事「ソトボラ新聞」を執筆中。通訳案内士として、訪日外国人に南三陸の魅力を伝えるツアーづくりが目標。