南三陸入谷地区の当帰(トウキ)栽培

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2月にしては春の陽気を思わせる暖かな週末。
入谷地区のハウスから白く煙がたなびいていました。
13日の土曜日、南三陸町入谷の農業グループ「南三陸農工房」では
昨年の12月に収穫した“当帰”(トウキ)の根の湯もみ作業を行うのだそうです。
ハウスの中に入っていくと、もうすでに湯沸かしの準備が始まっていました。
ところでこのトウキ。皆さんはご存知でしょうか?
生薬であるトウキの根は、血行を促進し、体を温める作用があり、貧血、冷え性、月経不順、便秘などに効果があるとされ、婦人薬として重宝されています。
     (トウキの葉)            (トウキの花)              (トウキの根)
        
4年前から民間会社「アミタ持続可能経済研究所」の協力のもと栽培を始めて、今回は20アールに約10,000本の苗を植えて収穫したそうです。
トウキの苗はとても小さく、定植作業にはボランティアの方たち20人の手を借りたといいます。
 
ハウスの中には、収穫後きれいに洗って乾燥させたトウキの根が並んでいました。
そしてこの日は、この乾燥させた根を60~80℃の湯の中で柔らかくして整形するのです。
この工程が、湯もみ作業なのですね!!
 
湯の温度を慎重に測り、トウキを5分くらい60~80℃の湯に浸し手もみします。
湯もみ作業をすることで、トウキの根が品質の高い生薬になるのだそうです。
 
この日参加した千葉大学環境健康フィールド科学センター、福島県立医科大学会津医療センター
の先生方や、同じ地域でトウキを栽培しているのぞみ福祉作業所、
地元の農業改良普及センターの方、などが全員で湯もみ作業をするという貴重な風景です。
 
千葉大学の渡辺先生は「トウキの栽培は難しく、一般的に発芽させて苗を作るまで
約1年かかる。発芽率も低く苗生産技術の確立に苦労した。」と話します。
苗を植えて収穫するまでさらに1年かかるので、今までおよそ2年かかったのですね。
しかし、これまでの研究成果を活かして42日間で苗を生産することに成功。
播種から収穫まで約2年かかるところを1年以内で行えるようになったそうです。
そしてなんと、「トウキは日照りに弱く、夏涼しく夜気温が下がる気候がいいので、
入谷は合っている。」というのです。
南三陸農工房代表の阿部博之さんは「無農薬なので、害虫や雑草を取り除くのが大変だった。」
と話します。
いいものを作るということは大変ですね!
  
トウキは海外(主に中国)から安く手に入るといいますが、会津医療センターの漢方専門医の三潴(みつま)先生は「漢方薬の8割が中国からの輸入。それでも国産がいいのは安心安全だから。」と話されます。
そして、患者さん一人ひとりに合った処方をするため、薬局や薬店で取り扱われている既に調合された漢方薬ではなく、その元となる“生薬”が手に入るということが重要なのだそうです。先生のもとにはそのような、生薬を独自に調合した漢方薬の処方を求める患者さんも多く、忙しいのだとか。
南三陸産のトウキが、医療にも、地域にも、貢献していくかもしれない!
そんな希望を感じました。
(西城)
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