年の瀬名物「おすばでまつり福興市」。新名物も誕生!?

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12月29日に毎年恒例の「おすばでまつり」が今年も福興市と合わせて志津川湾仮設魚市場で開催。海のそばの会場では、年越し・お正月用品を浜値で買い求める人たちでスタート前の早朝から賑わいをみせていました。

震災前から続く、年の瀬の一大イベント「志津川湾おすばでまつり」とは?

「おすばでまつり」は、震災後から南三陸の復興を象徴するイベント「福興市」と合わせて開催されている毎年恒例の年の瀬イベントです。

「おすばで」とは、三陸沿岸部で「酒の肴(さかな)」「つまみ」という意味で、南三陸の特産品である真だこ、アワビ、なまこ、いくらなどの海産物や農産品を中心とした物産テント、飲食ブースが立ち並び、年越しやお正月に欠かせない新鮮な食材を破格の安値で販売しています。

今回のおすばでまつりでは、天候もよく都市圏からのアクセス道が開通した効果もあり、朝8時30分の開店を待たずに、早朝から多くのお客さまで会場は大盛況。また、ボランティアスタッフの手慣れた販売支援もあり、売り上げも好調だった様子。

一年の締めくくりに「ここでしか、この日にしか買えない」もののために、遠方から足を運ぶ人たちも。

海のそばでの開催に喜びを感じる「おすばでまつり」。

「やっぱり、海のそばは気持ちいい。これでいい年を迎えることができる。ありがたいこと」。「おすばでまつり福興市」の実行委員長の山内正文さんは話します。

山内さんは南三陸で鮮魚と水産加工品の製造販売会社、株式会社ヤマウチを営んでいますが、震災による津波で店舗や工場、自宅、代々みんなで築いてきたすべてを失った人のひとり。

「おすすめは真だこ、アワビ。お正月商品が2割安く買えるよ。いい品物が多い」とインタビューの合間にも、お客さんや知り合いの人たちに次々と声をかけられ、笑顔で対応、忙しそうな様子です。

「例年より来場者が多いみたいですね。昨年ベイサイドアリーナからこちらの会場に移って、海のそばで開催できるようになったこと、毎年おすばでまつりが続いてくれることが嬉しいです」と話すのは、南三陸町観光協会の千葉裕美さん。「買い物だけではなく、その場で飲食できるのも魅力。地元の味を楽しんでもらいたい」と期待を語りました。

会場内では、海沿いの厳しい寒さの中、楽しそうに会話しながら試食・試飲をして歩く老若男女の活気で溢れていました。

「福興市」は、南三陸のみんなに「福」を「興」す市。みんなで幸福を作り出すのだという強い気持ちが込められた。

今年豊漁のたこが主役!

日本有数のたこの産地である志津川湾。真だこが今年は驚くほど豊漁だったこともあり、町の水産会社のブースの前には、たこ・たこ・たこ…の山。

早速、たこの試食をやっているブース前に並んでみると、「右が水だこ、左が真だこ!食べ比べてみて!」と勧められ、爪楊枝で一切れづつ口に入れてみると、確かに違いを感じることができました。お醤油をつけなくとも、両方とも美味しい。

「水だこ」と「真だこ」の違いは「水だこ」は真だこに比べて大きく、水分を多く含み、柔らかい。「真だこ」は引き締まっていて、歯ごたえがあり、噛めば噛むほど味が出てくるのが特徴とのこと。

普段の食生活では、たこの違いや魚介類について仙台在住の筆者にとっては興味をもったことがなかったこともあり、こういった地域のイベントで漁業関係者と直接話せる機会は貴重だと感じました。

キラキラ丼に次ぐ名物誕生?!南三陸の新名物丼「さんこめし」

会場の一角に長蛇の列をなしているブースでは、今回のイベントの目玉である南三陸町新メニュー「さんこめし」限定100食のモニター試食会がおこなわれる模様。周囲の人たちの間で「サンドウィッチマンが来るらしい」という口コミの広がりもあったせいか、配布前から並んで待っている人たちのドキドキ・わくわくしている気持ちが伝わってきました。

「さんこめし」とは、南三陸の豊富な海の幸である「たこ・穴子・はらこ」の3種類の具材が一つの丼に入った新メニューです。

「ウニが終わった冬場の閑散期に提供できる新しい名物メニューを考えていた」と話すのは弁慶鮨二代目 の菅原賢さん。キラキラ丼を共通メニューとして提供している飲食店同士が集まった試食会で「たこをつかった名物商品がほしい。いくら・あなご・たこを一つにしたらどうか」というアイディアが実現されました。

菅原さんに「さんこめし」に対する想いを聞くと「南三陸に住みたくても住めない、何かの事情で土地を離れている人たちに食べてほしい。うちの町にはこういうものがあるんだって、ほかの人に自慢したくなるような。ふるさとの誇りになる自慢の味にしていきたい」と熱く語ってくれました。

「3個の食材の存在感がなくならず、ぷちぷちした歯ごたえ!ごはんの味付けも美味しい!」

「たこ飯・穴子飯・はらこ飯が一度に食べられて贅沢。具も大きくて味がしっかりでている」

モニター試食は30分で配布が終了。早くも店内販売を心待ちにしている人たちも。海の幸に恵まれている南三陸だからできる新名物丼なのでしょう。

南三陸町新名物丼「さんこめし」はさんさん商店街等の飲食店で1月下旬から提供開始予定。キラキラ丼に次ぐ、南三陸を代表する大ヒットメニューの予感。これからの展開が楽しみですね。

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