大正大学地域創生学部、6週間の地域実習を南三陸町で実施!

5357

2017年9月19日~10月30日の42日間、大正大学地域創生学部の1年生が、南三陸町で地域実習を行いました。学生たちは南三陸町で何を感じ、どんなことを学んだのでしょうか? 実習中の学生たちに話を聞きました。

今年も大正大学地域創生学部の実習生が南三陸町へ

大正大学に昨年誕生した地域創生学部では、地域問題を解決し、これからの地域を担う人材の育成を目指しています。学生たちは1年次から4年次まで都市と地方の双方で長期の地域実習に取り組みながら、都市の視点で地域活性化に貢献するとともに、地方の視点で都市問題にアプローチできる力を身につけていきます。

全国12地域ある実習先のひとつが南三陸町です。昨年に引き続き、1年生21人が6週間にわたって滞在し、観光・産業・コミュニティのテーマで3つのグループに分かれ、ボランティア活動や町内事業所でのインターン、地域イベントの企画・運営など、地域と密に関わりながら実習を行いました。

町内外の関係者にインタビューを実施。多くの町民と関わりを持ちながら町のことを学んでいった
期間中には、福興市や各イベントにも参加をし、南三陸の発信を担う場面も

「南三陸の最大の魅力は“アツイ人”が多いこと」

108日(日)に入谷地区「ひころの里」で開催された「ひころマルシェ」。その企画・運営に、コミュニティ班のメンバーが関わりました。コミュニティ班は、南三陸町にどういうコミュニティがあるのか、そのコミュニティがどう機能しているのかをリサーチします。ひころマルシェでは、来場者がより楽しめるようにとインスタグラム用の木枠を提案したり、ライブステージ前のイスを作ったりと、地域の人たちと相談しながら準備を進めました。

コミュニティ班のリーダー、若井千穂さんは「事前のミーティングで、私たちが考えたことを提案したら、すべて『いいね!』と受け入れてくださったのがうれしかったです」と振り返ります。当日は会場入口付近の受付ブースを担当し、来場者への案内などで忙しい様子でした。

受付ブース前でほかの実習生やスタッフと。若井さんは右から3番目

若井さんは、実習先が南三陸町に決まり、実習前に一度見ておこうと、夏休みにヒッチハイクで町を訪れました。「インターネットで見ていた町の印象と、実際に自分の目で見た町の様子は、だいぶ違うものでした。復興はだいぶ進んでいると思っていましたが、まだまだ手つかずのところも多く、驚きました」。

しかし、実習のため再び南三陸町へやって来て、町に対するイメージはさらに変わったそうです。「南三陸町は豊かな自然も魅力的ですが、何といっても人が素敵。“アツイ人”が多いのが南三陸町の魅力です」と若井さん。「南三陸を盛り上げたい、どうにかしたい、と思っている人が多いことが、この町の強みだと思います。地域実習の最後の報告会では、南三陸にいる“アツイ人”をマップ化して紹介したいと考えています」。

3年次にもう一度実習に来るので、そのときには、未来を担う子どもたちが南三陸にずっと住み続けたいと思うような仕組みやイベントを作りたい。そのために、子どもたちが南三陸町のことをどう思っているのか、生の声をもっと聞きたいですね。今回の実習では地域に溶け込むことが目標でした。3年次には具体的なアクションに移せるよう、これからがんばります!」と、若井さんは今後の抱負を話してくれました。

「実習を通して、実際に来なければわからない南三陸の魅力を、たくさん知ることができました」

「想いの強い人たちが町を盛り上げている」

産業班リーダーの小坂健介さんにも話を聞きました。小坂さんは長野出身で、将来は大好きな地元に戻って何かしたいという想いから、地域創生学部に入ったそうです。

「産業班では、第一次産業の現場で活躍されている人たちに話を聞いたり、かまぼこの老舗・及善商店で仕事体験をしたりしています。3週間が過ぎて、南三陸がどういう町かが少しずつわかってきました。移住してきた人やUターンしてきた人たちが活発で、町を盛り上げているという印象があります。そういった人たちの想いの強さを感じますね」と小坂さん。若井さんと同様、南三陸の魅力は人にあると感じています。

「地域実習の後半3週間は、決められたプログラムがなく、自分たちで学びをデザインしていかなければいけません。同じ班のメンバーと話し合いながら、テーマを設定し、掘り下げていきます!」と小坂さんは意気込みを語りました。

ひころマルシェでおにぎり屋台を手伝った小坂さん。「ひころマルシェはじめ、南三陸はイベントが多いですね。ボランティアなど支える人がいるからこそ、イベントが成り立つのだと思います」と話した

地域への報告会は、あくまで通過点

40日間にものぼる実習の最終週、10月26日(木)には地域住民を主対象にした活動報告会が開催されました。報告会には、町内外から約50名が集まり、地域創生学部のみなさんの取り組みが町内でも注目されていることが伺えました。

観光、産業、コミュニティのそれぞれのグループが活動の報告や、仮説の検証、提案を実施。観光班は、観光客の滞在時間を延ばすことを目的に、店主らが町の魅力をしっかりと語れるようにするための講座開催を提案しました。

各グループの発表後には活発な質疑応答があり、学生と地域住民で意見交換がなされた

観光班リーダーの鈴木里奈さんは「これをステップにして、2年後の地域実習時には私たちの目標である『さんさん商店街+アルファ』の観光をしっかりと考えていきたい」と意気込みます。

南三陸町での地域実習で、多くの人と出会い、さまざまな体験をした学生たち。しかし今回の実習はあくまで通過点。東京に戻った学生たちは、それぞれの研究課題を深め、2年次には東京で実習、3年次には再び南三陸に戻って実習を行う予定です。南三陸で得たものが、この先の学びにどう生かされるのか、彼らと南三陸町とのご縁がどのような形になるのか、これからが楽しみです。

いいね!して
南三陸を応援

フォローする
前の記事<11月15日放送>みなさんぽ
次の記事<11月22日放送>みなさんぽ
ライター、編集者/通訳案内士。ひと・まち・食・旅をテーマにした取材・執筆および書籍編集を行う。東日本大震災をきっかけに東北沿岸部を訪れるようになり、なかでも南三陸町に魅了され、つながりを深めている。ソーシャル&エコ・マガジン『ソトコト』で東北の“いま”を発信する連載記事「ソトボラ新聞」を執筆中。通訳案内士として、訪日外国人に南三陸の魅力を伝えるツアーづくりが目標。