県立志津川高校に自主学習の場「学習支援センター」を町が提供

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県立志津川高校に「志津川高校学習支援センター」ができました。設立にあたり、町が運営費を負担。県立の高校に学習支援センターを設置するのは宮城県では初めてで、全国的にも珍しいです。生徒達の自習学習の場として今後活用されていきます。

宮城県では初、県立高校に学習支援センター設立

震災後、人口流失にともない、志津川高校でも年々生徒数が減少。震災前は420名ほどでしたが、今では半分の230名程に。生徒数の減少を町としてもなんとか食い止めようと、町の企画課が「志津川高校魅力化懇談会」を立ち上げました。その後、町職員、教職員、NPO法人キッズドアの代表ら約20人で話し合いを実施。町の中学生、保護者にアンケートで「志津川高校に何を求めるのか」など尋ねたところ、「学力の向上、進学対策」などが多く挙げられました。

懇談会でその結果を踏まえ、「志津川高校魅力化プロジェクト」の一貫として、学習支援センターを設立することになりました。生徒数の減少に歯止めをかけるとともに、学力の向上が目的です。

学習支援センターでのようす

学習支援センター運営費は町が負担

設置したのは志津川高校同窓会ですが、運営にかかる費用はすべて「ふるさと納税」の寄附から町が出しています。震災後、生徒達の活躍や町唯一の高校ということもあってか、地域住民からの思い入れも強く、「おらほの学校・地域で育てる」との思いもあり町が運営費を負担しています。

「モアイバスの寄贈、福興市への出店、部活動の活躍など多くの元気を町にくれました。この学習支援センターはそんな皆さんへの町からの贈り物です」と話す、同窓会会長の小畑政敏さん。

佐藤仁町長は式典あいさつで「全国の思いが詰まった学習支援センター、感謝の気持ちを忘れず、自分のスキルを上げて頑張って下さい」とあいさつされました。

県立高校に学習支援センターを設置し、運営費を町が負担するのは、宮城県では例がなく、全国的にも珍しいです。そのため一つのモデルケースとして確立すれば、志津川高校の新たな取り組みとして、全国に発信することができます。

タブレットを活用し、個人にあわせた学習

学習支援センターを運営するのは、NPO法人キッズドア。震災後、南三陸町内の小中学校で放課後学習や小学低学年を対象にした放課後見守り活動などを行っています。

学習支援センターには、スタッフ3人が常駐。塾などとは違い、自分のやりたい勉強を自分のペースで行うことができる。スタッフは問題の解き方を教えるだけではなく、学習の進め方などの学習相談にも対応します。

学習支援センター内にはタブレットやパソコンが設置されており、これらを活用した「ICT学習」を取り入れています。これはweb上に公開されている予備校講師の授業を受けることができる仕組み。資料はダウンロードして設置されているコピー機から印刷することができます。また公開されている授業は高校受験の内容からセンター対策、公務員対策など幅広く対応しているため、生徒一人一人にあった学習ができます。

早速ICT学習を活用している生徒
学習支援センターに設置されているPC

夢を掴み取る自主学習スペース

学習支援センターの名前は「志翔学舎」。“志を待って羽ばたく学び舎”というという思いが込められています。

志津川高校校長の山内松吾さんは「勉強するのに環境は選ばない。あの高校だから諦めるとかではなく、ここで努力して、自分の努力で未来を切り開く。復興の手助け、社会に役立つ人間になってください」と話していました。

NPO法人キッズドア 志津川高校学習支援センターセンター長の佐藤陽さんは、「自分で決めた夢を叶えるために、学力が足りないということにはなってほしくない。学習環境を提供することしかできないが、生徒達には有効に活用して頑張ってほしい」とのこと

生徒にとってもこういった学習スペースができるのは嬉しいと話していました。

「進学となると肩身が狭い思いをしていたが、ここでは気にせず集中して勉強に取り組むことができる」と話す生徒もいました。

さまざまな人の思いが込められた、この学習支援センター。今後、復興の担い手となる若手がこの場所から育っていくことが期待されています。

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