地域子育て支援センターってどんなとこ?

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子ども・子育て支援の充実を掲げている南三陸町。その拠点が「地域子育て支援センター」です。2015年12月に総合ケアセンター2階に新設されたセンターを訪ね、上席技術主幹 保育士の佐々木千夏先生に話を聞きました。

子育て仲間との交流も、育児相談もここで

志津川の沼田地区に建つ「南三陸病院・総合ケアセンター南三陸」。病院のほかに、地域の保険や福祉といった行政サービスの拠点が入った施設で、その2階に「南三陸町地域子育て支援センター」があります。中に入ると、明るく広々とした空間が広がっており、カラフルで楽しそうな遊具が設置されています。

センターは毎週月曜日から金曜日の午前10時から午後3時まで開放されていて、子育てをしている人やこれから子育てをする人が自由に利用できるようになっています。子どもを遊ばせながら、子育て仲間との交流を楽しんだり、スタッフに育児相談をしたりすることが可能。2016年4~6月の3か月間に、のべ約1000人が利用しました。

明るく広々としたスペースと充実した遊具が好評
明るく広々としたスペースと充実した遊具が好評

親子を温かく見守るスタッフたち

センターには常時4名のスタッフがおり、子どもと遊んだり、お母さんの話を聞いたりします。スタッフのひとり、上席技術主幹 保育士の佐々木千夏先生は、「いくら施設が立派でも、中身が伴わなければ意味がありません。『行ってみたい』『また来たい』と思ってもらえるように、スタッフ一同、気配りをしています」と話します。

たとえば「声かけ」。親子の様子を見ながら、タイミングを見計らって声をかけ、コミュニケーションを取っています。「来ていただいたら、必ず話しかけるようにしています。帰られる際に『また来てくださいね』『次は来週ね』と声をかけることも大事。また、一人ひとり、対応を変えています。大勢の前だと話がしにくいお母さんには、人が少ない時間帯に来てもらうこともありますね」と佐々木さん。

親子を温かく見守ってくれるスタッフの心づかいが、センターを心地のよい場にしています。

外のウッドデッキを佐々木先生に案内してもらう筆者(右)
外のウッドデッキを佐々木先生に案内してもらう筆者(右)

初めてでも安心! 親子それぞれに楽しめる場所

利用者のお母さんたちにも話を聞いてみました。「2、3か月前から毎日来ています。私は県外出身なので、ここに来るとママ友と話せるのが楽しいですね。私自身の息抜きになっているだけでなく、子どもたちもすっかり気に入っています。また、同年代の友だちと触れ合うことは、子どもの成長にもつながっていると思います」とAさん。

Bさんは、「家で遊ぶよりも、ここに来たほうが色々な遊びができるので、重宝しています。特に約束しなくても、ここに来るとだれかしらいるのがいいですね。また、子育てでどうしていいかわからないことを、ここの先生たちによく聞いています。おかげでおむつも取れました」と話します。

ただ、AさんもBさんも、利用する前は少し不安もあったそうです。「すでにグループができていて、入りづらいのではないかという先入観がありました。でも実際はグループがあるわけではなく、先生方もいらっしゃるので、すぐに溶け込めました。利用をためらっている方には、心配いらないよと伝えたいですね」とAさん。

親子だけでなく、おばあさんが孫を連れて来ることもあるとか。「ここに来ると、いろいろな人と出会ったり、さまざまな育児が見られたりして、刺激になります」とBさん。センターは、親子双方にとって、出会いと交流、そして学びの場になっているようです。

「地域子育て支援センター」ってどんなとこ?
スタッフに見守られながら、親子がのびのびと遊べる

お母さんたちの”やりたいこと“を応援

通常の施設開放のほか、親子クッキングをはじめ、豆まきやひな祭り、クリスマス会などの季節のイベントも行っています。7月26日には夏祭りを開催しました。7月から9月上旬にはプール遊びも実施。そういった催しをきっかけに、頻繁に利用するようになる人も多いようです。

センターでは、お母さんたちが行う自主活動のサポートもしています。過去には、リサイクル活動やエコ活動、畑づくりなどが行われました。「ここで出会ったママ友たちが、自分たちの”やりたいこと“を形にするお手伝いをしたいと思っていますので、何でも相談に乗ってください」と佐々木先生。サークル活動でセンターの施設を利用することもできるそうです。

センターは、子どもが楽しく遊べたり、親が息抜きしたりするだけでなく、お母さんたちの自己実現を応援してくれる場でもあるのです。

7月26日に行われた夏祭りでは、親子が盆踊りを楽しんだ(提供:南三陸町企画課)
7月26日に行われた夏祭りでは、親子が盆踊りを楽しんだ(提供:南三陸町企画課)

切れ目のない子育て支援のハブとして

南三陸町の子育て支援の特徴は、子どもの見守りを切れ目なく行っていること。子育て支援センターはそのつなぎ役のような存在です。「子育て支援センターでは、保健センターで実施している乳幼児健診に出向き、お母さんたちに親子遊びを教えるとともに、センターの紹介もしています。その際、気になる子どもがいれば、センターに遊びに来てくれたときに様子を見て、必要に応じて連絡を入れます。そしてその子が小学校に上がるときには、保育所から小学校につなぎます」と佐々木先生は説明してくれました。

「子どもを見守るためにも、とにかく多くの人にここを利用してもらいたいですね。初めての方は緊張されるので、特に気を配ります。付かず離れず、様子を見ながら声かけをして。また、毎日来ていたのにしばらく来られなくなったりする方がいらっしゃると、心配になって連絡をすることもあります」と佐々木さん。

といっても、上から目線で“教える”のではなく、“一緒に考える”姿勢を大事にしています。「お母さんたちがホッとできる場、気持ちを発散できる場になればと……」。一人ひとりに気を配り、寄り添い、親身になって相談に乗ってくれる佐々木先生は、お母さんたちから絶大な信頼を得ています。

佐々木先生のような頼れるスタッフがいる「地域子育て支援センター」は、とても居心地がよく安心感のある場所です。戸倉と歌津にも新しい保育所に併設されています。ぜひ足を運んでみてください。

「初めての方も気軽に遊びに来てくださいね!」と佐々木さん
「初めての方も気軽に遊びに来てくださいね!みんなで待っています。」と佐々木先生

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ライター 小島 まき子
ライター、編集者/通訳案内士。ひと・まち・食・旅をテーマにした取材・執筆および書籍編集を行う。東日本大震災をきっかけに東北沿岸部を訪れるようになり、なかでも南三陸町に魅了され、つながりを深めている。ソーシャル&エコ・マガジン『ソトコト』で東北の“いま”を発信する連載記事「ソトボラ新聞」を執筆中。通訳案内士として、訪日外国人に南三陸の魅力を伝えるツアーづくりが目標。