スキルを活かして、町の描く未来に貢献!/佐藤和幸さん

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南三陸に生きる⼈を巡り、⼀巡りしていく連載企画「南三陸ひとめぐり」。第13弾は、この春、南三陸町に移住をした佐藤和幸さん。スキルを活かし、南三陸の新プロジェクトの事務局を担う佐藤さんに迫ります。

法科大学院在籍中に東日本大震災が発生

南三陸町にこの春移住した佐藤和幸さん。福島県新地町の出身だ。大学は東北学院大学の出身と東北にも縁が深い。

「同世代の人が抱いているような『地元を出たい!』という想いはそこまで強くなかったですね。家業が八百屋をやっており、それを継ぎたいと思っていたくらい」と話す佐藤さん。大学卒業後は地元にある大手電力会社の発電所に勤めた。経理・財務・総務・防災危機管理などのバックオフィスを各種経験した佐藤さん。

「よりいろいろなことに挑戦してみたい」と会社の早期退職制度を使って退職。その後独学で行政書士の資格を取得したのち、さらに法律を学ぼうと法科大学院へと進学した。

行政書士として仕事をしながら司法試験の勉強をしていたときだった。東日本大震災が発生した。地元新地町も大きな被害に見舞われた。

「正直、勉強なんかしている場合ではない、と学校を休学しました」

震災後、行政書士のスキルを活かし各地で活躍

「自分になにができるのか」を考えていた時に出会ったのが、故郷福島県に関わる仕事だった。東京電力福島第一原子力発電所事故を受けての、原発被害者に対する損害賠償請求書の作成支援を行った。

故郷福島県で苦しむ人への想い、そして自らの行政書士としてのスキルを活かせる仕事に出会った佐藤さん。震災後の混乱のさなか、佐藤さんのもつ、経理、財務、総務、法務といったスキルは、誰しもが求めるものであった。それを一手に引き受けることのできる佐藤さんはまさに、引っ張りだこだった。

宮城県名取市の六次産業化モデルファーム「アタラタ」の立ち上げ支援、福祉施設や食品工場、温浴施設の立ち上げ、仙台で実店舗の企画立案、運営など、震災後各地で起こるスタートアップの右腕として活躍の場を広げていた。

今年2月、フィールドリサーチツアーで南三陸を訪れる

そんな折に出会ったのが、南三陸町だ。

「宮城県に縁があったとはいえ、南三陸町は非常に遠いところというイメージでした。実際に訪れたこともなかったですし」

今年2月に「フィールドリサーチツアー」として南三陸を訪れた。周ったのは南三陸の循環型の取り組みを行うキーパーソンたちだ。

かつて、大手電力会社で働いていたこともあり、震災がきっかけとなり再生可能エネルギーに興味をもった。そうしたときに、南三陸が町全体でめざす循環型の取り組みに出会った。

「正直、循環って南三陸に来るまで意識したことはなかったです。それでも、この町の人たちは当たり前のようにそれをやっている。それってすごいことだと思ったんです。

ツアーを通して出会った、熱い想いをもつ町民といっしょに仕事ができたらとても面白いのではないかと感じました」

ツアーでは南三陸の森里海の各フィールドを周った(提供:南三陸町移住支援センター)

南三陸に移住し、プロジェクトの立ち上げサポートを担う

わずか2カ月後、佐藤さんは南三陸に移住した。

「会う人みんな親切で、田舎特有の暮らしにくさなどは感じません。町自体に活気があり、やはりその活気を作っているのは、南三陸に生きるポジティブな人の雰囲気なんだろうなと感じています」

南三陸で立ち上がった持続可能な社会作りに挑戦するプロジェクト「Next(ネクスト) Commons(コモンズ) Lab(ラボ)南三陸」。ワイナリーの建設や、レストランの立ち上げ、無農薬無肥料でのお米の栽培、山の未利用資源を活用した事業など7つのプロジェクトがある。その一つひとつが南三陸の循環の輪に入っている。プロジェクトの成功は、すなわち、南三陸がめざす「持続可能な循環型社会」に近づくことを意味している。

佐藤さんはその事務局として全体のサポートを行う。

「私自身がプレイヤーになるというよりも、やる気ある人のサポートをするほうが楽しいんですよね。それぞれの足りないところに手助けできるようなプレイングマネージャー的な関わり方が理想です」

終始おだやかな口調で話す佐藤さんがもつ確かなスキル。頼もしい参謀を得たプロジェクトは、南三陸の目指す未来に向けて大きな一歩を踏み出した。

Next Commons Lab南三陸の事務局を担う株式会社ESCCAの山内亮太さん(左)と佐藤和幸さん(右)

インフォメーション

Next Commons Labの募集要項やプロセスの詳細は下記のHPをご覧ください。

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