お酒と笑顔のあるお店は、地域の拠り所。/ 佐藤裕さん

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南三陸に生きる人を巡り、一巡りしていく連載企画「南三陸ひとめぐり」。第30弾は、ハマーレ歌津の元気印「佐藤酒店」の佐藤裕さん。老若男女が集うお店の秘けつは、店主の笑顔。地域の拠り所となる空間を営む佐藤さんの想いに迫ります。

「お酒」で地域に愛され、貢献する

「はいっ!どーもねっ!」

店主佐藤裕さんの、ひときわ大きな笑い声が外まで響いている。今月オープンから2周年を迎える南三陸ハマーレ歌津の酒屋「佐藤酒店」。

震災後まもなく、歌津中学校裏の仮設テント商店街で営業を再開し、2012年9月には伊里前福幸商店街に店を出した。震災直後から、地域の人々に欠かせない「お酒」と「笑顔」を提供する店として、地元に愛されていた。まt、ボランティアや視察、観光など町外のお客さんが多く南三陸を訪れていることから、地域のブランド商品を企画。隣接の登米市にある石越酒造の協力を得て、オリジナル日本酒の開発を行うなど、お土産品を通じた地域振興にも大きな役割を果たしてきた。

ラベルの文字は、歌津出身で歌津中学校の元校長先生、阿部友昭さんに書いていただいたという

「昼は酒屋。夜は飲み屋」

さらに、夜集まれる場を作ろうとBAR営業を開始。「昼は酒屋。夜は飲み屋」として営業を開始してから仮設商店街時代も含め丸3年がたつ。

2017年4月のハマーレ歌津オープン時には多くの観光客が集い、商店街は活気を見せていたが、その後の三陸自動車道の延伸や、長く続く国道の整備などハマーレ歌津を取り巻く環境はこの2年で大きく変化。

「ハマーレ歌津全体で考えると、観光でふらっと立ち寄るお客さんは減少しているので厳しさを感じていることは間違いない。三陸道も伸びたので、歌津で降りずに通過してしまっている現状もあると思う」と話す佐藤さん。

そんな厳しい状況のなか、佐藤さんのお店には20代の若い子たちから70近い世代まで、まさしく老若男女が集う店となっている。

「お客さんの95%くらいが地元の方です!地元歌津はもちろん、志津川や、小泉あたりからも来てくれていてうれしい限り」と話す店主の佐藤裕さん。

昨年末からの忘年会新年会シーズンの客足などはそれ以前の2~3倍となるほどだという。

地域の人の拠り所に

どんなお客さんが来ても、佐藤さんのフランクで明るい店のスタイルは変わらない。相手が年下でも偉そうにすることはないし、目上の人でもへりくだったり、もてなしたりするわけではない。いい意味でアットホーム。

「もともと酒屋をやっていてお酒はあるので、飲み屋をするというのは自然な流れだったんです。とくに震災後は仲間で集まれる場所ないよねって。日常的に集まれるような場所があればと思ったんです。店をするにあたって不安はあった。けれど、やらないより悪いことってあるんのかなって考えて。人と喋るのが大好きだし、そのスタイルを生かせば拠り所を作れる自信はあったんです!」と笑う。

これまでにも、歌津地区で集まれる場所を作ろうとハマーレ歌津の各店舗と協力して「ビアガーデン」を開催するなど、さまざまなイベントを開催してきた。

「イベントで初めて知ってくれたお客さんが、その後店を訪れてくれる。そうしたよい流れができているから、今年の6月あたりから9月後半にかけては毎週なにかイベントをやるくらいな気持ちで、ハマーレ歌津の各店舗と協力しながらどんどん盛り上げていきたい!乞うご期待です!」と意気込む。

お酒と笑顔に満ちた店

「若い人はもちろんですが、親父世代にも利用していただけるようになったのはうれしいっす。このお店で世代を超えたつながりができたり、お客さん同士がこの店で友だちになっていったりして、これからも店がみんなの架け橋になっていければよい」と話す佐藤さん。

高級料亭のようなご飯があるわけでも、ヴィンテージのお酒があるわけでもない。なにも特別なことではないけれど、ここには飛びきりの笑顔と、笑い声が満ちている。それが、この町で生きる人々にとって拠り所となる所以かもしれない。

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