第6話 実際いくらかかるの?気になる出産費用を公開!

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今回はズバリ、出産前後にかかるお金の話です。

新しい命を授かるというときに、数万の負担がどうこうなんて言ってられない!とは言いつつ、実際には自分自身の収入も一時はストップするし、ただでさえいろいろと要り用だし、まあ、わかるもんなら事前に知っておきたいですよね。

最初に私の実感を言うと、現代における妊娠、出産に関する支援はとても手厚いです。自分が経験してみて初めて、日本の保険制度ってすごい!と思いました。

これに関しては、南三陸町だからどうこうという話はほとんどなく、全国的にほぼ同じかと思います。が、私自身、雑誌やネットでいくら調べても、実際私のお財布から出て行く額はいくらなの?ってはっきりしたところは本当にわからなくて、ドキドキしていました。なので、なるべく具体的な数字までお伝えしていこうと思います。

妊婦健診。びっくりするのは最初の2回だけ。

さて、私が妊娠したとわかった日のことは、以前の記事「第1話 決断の時は意外と早い!どこで産むか問題(前編)でも書きましたが、だいたいの場合、妊娠検査薬とかで陽性反応を見てから産婦人科を受診して、「ご懐妊です」となるのでしょうが、私の場合は自分が妊娠してると思わずに受診したので完全な不意打ちだったんですね。人生の急展開にあれやこれやと考えが巡って、ふわふわしている時にお会計に呼ばれて、私は衝撃の事実を知ることになります。

「お産は病気ではないので、保険外診療になります」

え、そうなの??まぁ、そう言われればそうなのか・・・。

で、この時請求された金額、8,120円。「え、高っ!」と思いましたよ。全然そんなつもりで来てないし。あれ、今日お財布に現金入ってたっけ?って若干不安になりながら支払った覚えがあります。

そして2週間後、出産予定日を確定させるために再度受診した際の金額、7,990円。えー、高くない??この先、月に1度とか2週間に1度のペースで検診あるのに、毎回この金額??

と、一瞬不安になったものの、ご安心ください。びっくりするのはこの時まででした。

出産予定日が決まると、役場に母子手帳を交付してもらいに行きます。その時に、「母子健康手帳別冊」というものも一緒にもらえます。そこに「妊婦健康診査助成券」というものが綴じられていて、その後の検診の際は冊子ごと窓口に出せば、ほぼ自己負担なく検診が受けられるのです。

出産までには12〜14回程度、検診を受ける必要がありますが、助成券は14枚もらえるので、何か特別なことがない限りは、足りると思っていいでしょう。これは町の制度ですが、多くの自治体でこのような制度はあるようです。

下記は、私の実際に支払った金額です。ご覧のように、ほぼお会計はゼロ円。いやー、ありがたいですね。

(南三陸病院は分娩は行なっていないため、石巻赤十字病院と気仙沼市立病院でセミオープン制度をとっています。妊婦健診は、週数によって南三陸病院か連携病院で受けることになります)

妊娠週数 金額 内容 日赤/南三陸
8,120 妊娠発覚 南三陸
11 7,990 出産予定日決定 南三陸
13 2,820 日赤初診療 日赤
16 0 南三陸
16 730 日赤
19 540 母親学級参加費 日赤
23 0 日赤
26 0 南三陸
28 0 南三陸
30 0 日赤
32 0 南三陸
34 0 日赤
36 80 日赤
38 0 日赤
39 0 日赤
40 0 日赤

 

出産費用、いくらになるかはタイミング次第!?

さて、先ほど「お産は病気ではないので、保険外診療」と書きましたが、じゃあ実際の分娩時っていくらかかるの?と思いますよね。一回の診療ですら7,000円もかかるのに、入院や場合によっては手術も伴う分娩って相当高額なんじゃ・・・と不安になると思います。

しかし、ここはさすが日本の手厚い保険制度。「出産育児一時金」という制度があり、健康保険に加入している人、あるいは健康保険に加入している人の配偶者もしくは扶養家族であれば、一律42万円が支給されます。しかも、「直接支払制度」と言って、健康保険組合から直接病院に支払ってくれるので、高額な出産費用を建て替える必要はなし。つまり、病院で請求されるのは、出産費用から42万円を引いた分だけになります。ちなみに、多胎児(双子や三つ子)の場合は、「子供の数×42万」が支給額になるので、出産費用が支給額より少額な場合、余った分は後からもらえるそうです。へー!!

ここまではなんとなく理解はできるのですが、じゃあ実際窓口でいくら払うことになるの?と言うと、これが最後までわからなくてドキドキしたんですよね。日赤の場合、出産に関する情報が一冊にまとまった教科書のような冊子をもらえるのですが、そこにはこう書いてあります。

出産費用について
一般的な費用(概算)
初産婦・自然分娩 55〜57万円程度
初産婦・帝王切開 50〜55万円程度
経産婦・自然分娩 53〜55万円程度
経産婦・帝王切開 50〜55万円程度

※入院日数、出産した曜日・時間帯等により異なります

いやいや、結構な開きがあるじゃんって思いませんか?しかも初産婦の自然分娩一番高いなんて・・・。一般的に初産婦のほうが経産婦よりリスクが高く、長引く場合も多いからということでしょうか。自然分娩より帝王切開のほうが安いのは、帝王切開は手術ということで健康保険の対象となり、3割負担で済むからだそうです。そして、出産費用が不確定な一番の理由が、これ。「※入院日数、出産した曜日・時間帯等により異なります。」つまり、出産が日曜・祝日や深夜帯にかかると、その分の割増料金が加算されるということらしいのです。こればっかりはコントロールのしようがないので、まさに赤ちゃんのタイミング次第なんですね。私の場合は1月17日が予定日だったので、お願いだから年末年始にはかからないでくれと祈っていました。

で、気になる実際にかかったお金はというと、

請求額479,966円ー出産一時金420,000円=支払額59,966円

意外に安く済みました!土曜日の昼過ぎという、絶妙なタイミングで生まれてきてくれた我が子を褒めたい。

促進剤を打ったり吸引したりということもなく、早朝入院して昼過ぎには生まれていたという安産だったので、安いほうなのかもしれません。

お産は病気じゃないなんて言われますが、当然様々なリスクも伴うわけで、病院では万全の体制がとられています。万が一のときのために常に点滴の針を入れられ、いろんなセンサーをつけられて、専用の部屋もあてがわれた上に、分娩時は医師1人に助産師2人がつきっきり。入院中も医療的なサポート以外にも、沐浴の仕方や授乳の仕方も懇切丁寧に教えてくれて、4人部屋とはいえ十分快適な環境で過ごすことができて、細かいことを言えば、入院中に使うパジャマやタオル代、赤ちゃんのオムツやおしりふき代等なんかも全部含まれたこの金額って、全然安いよ!って思いました。

知っておきたい。医療費の自己負担額には上限がある!

私の場合は自然分娩の安産だったので、この金額で済みましたが、当然母親や赤ちゃんの状態によっては、様々な医療処置が必要な場合もあります。妊娠中に切迫早産や切迫流産となって入院が必要になる場合もあります。そんな時でも、医療費の自己負担額が高額になってしまう患者さんをサポートするために、「高額療養費制度」というものがあります。

簡単に言うと、収入に応じて月々の医療費の自己負担額に上限があるのです。目安ですが、年収約370万円以下であれば、1ヶ月の自己負担上限額は57,600円。これ以上支払った場合は後で戻ってくるか、あらかじめ申請しておけば窓口での支払いを上限額内に収めることもできます。これは健康保険の制度の一部で、保険診療全般に対して適用されるので、帝王切開、吸引分娩などの費用や、妊娠中の入院費も対象となります。何も無いにこしたことはありませんが、知っておくと少しは安心ですよね。

退院時にかかる赤ちゃんのための費用

これまでは主に母親側の話。退院時にかかる赤ちゃんのための費用もあります。入院中に、任意で受けられる検査が二つあります。一つは、新生児聴覚スクリーニング検査という、赤ちゃんの「耳の聞こえ」を検査するもの。もう一つは、ガスリー検査と呼ばれる、先天性代謝異常症等の検査です。この検査料は県が負担してくれるので、採血料と送料のみの負担ですみます。この二つの任意検査の金額も、退院時に支払います。合計で9,184円でした。

お金に関して言えば、「案ずるより産むが易し」

「案ずるより産むが易し」。出産のどこが易いんじゃー!と言いたくもなりますが、お金に関して言えば、確かに心配していたよりは「安し」でした。それだけ、国も自治体も子育てを応援してくれているんだなというのを実感して、ありがたくなりました。次回は、気になるお金の話第二弾、出産後に受けられる支援制度について書いていこうと思います。

※記事中の金額は、あくまで2019年現在の、私個人の体験に基づくものです。詳細な金額は各機関にお問い合わせください。

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