野菜ソムリエ目線の情報を織り交ぜながら四季折々の旬をお伝えする連載企画。南三陸町では、この時期、春告げ野菜とともに春を告げる生の海藻類、「わかめ」「めかぶ」「ふのり」「あかもく」「ひじき」「まつも」などがズラリと店頭に並びます。今回はこの中の「まつも」をご紹介します。
獲れたての海藻の香りと食感に魅了されて
私の登米市から南三陸町への通勤生活は、もうすぐ満3年を迎えます。南三陸町が勤務先となってからというもの、が家での食卓のラインナップは、少しずつ変化し、すっかり海産物を食べる習慣が定着しました。
ほぼ毎日といってもいいほど海藻を食べるようになったきっかけは、春に獲れたばかりの海藻を食したときに、その磯の香りと食感のよさに魅了されたことでした。
海藻といえば、一般的には加工品の塩蔵や乾物等が知られていますが、2~4月にかけてのわずかな時期にのみ楽しむことができる「生食」のスタイルを、見逃すわけにはいきません。
調理も簡単。お手軽な「まつも」
今回は「まつも」をご紹介します。
松の葉に形が類似していることから「まつも」と命名され、特に海藻の中でも磯の香りが格別であり、シャキシャキとした食感とトロミを楽しむことができます。
南三陸町の住民にとっては、とても身近な食材なのですが、以前の私には「未知の食材」でした。
また、購入する際には、さすがは海の町!と思わずうなってしまうこともしばしば。時価は、驚くほど安価で、量が多いことにも驚かされてしまいます。お得で喜ぶべきですが、食べ方について無知な私は、余らせてしまうことが予想され買わずじまいでした。
課題は、「無駄なく美味しく食べ切る」こと。それは、やっぱり地元の方々に聞くことが一番。思い切って店員さんにおすすめの食べ方を質問してみると、
「湯通して、そのまま酢の物やお味噌汁などでどうぞ」
この教えに、思わず「簡単そう!毎日食べられそう!」と嬉しくなり、量の多いことを気にすることなくお買い物ができるようになりました。
そして、今ではすっかり我が家の定番献立となっているのが、『まつもの酢の物』です。
さっと湯がき、ポン酢または酢醤油をかけていただきます。シャキシャキとした食感と香りが楽しめる簡単酢の物です。
『まつもの味噌汁』
いつもの味噌汁にパッと海藻をはなすと鮮やかな緑色に。いつもの味噌汁が磯の香りたっぷりにグレードアップ!
『まつもの天ぷら』
サクサクとした中にトロっとした食感がやみつきに。
からだにもうれしい海藻をたっぷり食べてください!
さらにうれしいことに、海藻は低カロリーでありながら、栄養価も豊富な食材です。特にまつもは、骨や歯を形成するのに必要なミネラルが豊富で、カルシウムやリン、マグネシウムなどが含有されています。さらには、ビタミンAを多く含み、強力な抗酸化作用が期待できること、またカリウムも多く含まれており、塩分や老廃物の排出を促し体内のミネラルバランスを整えてくれます。
まつもをはじめ海藻類には、不足になりがちな水溶性食物繊維が豊富に含まれており、便秘を改善し肥満を予防したり、腸内での糖の吸収をゆるやかにして食後血糖値の急激な上昇を抑えます。毎日少しずつでもいいので様々な調理法やメニューで、ぜひ食卓に取り入れていただきたいオススメの食材です。
今がまさに旬の海藻、ぜひ磯の香りを存分に味わってみてください。そして南三陸町でのお買い物では、お店の方にどんどん食べ方を聞いてみてくださいね。とびきりの美味しい食べ方を教えてくれますよ。