移住者夫婦である筆者が、南三陸町で妊娠、出産を経験し、子育てに奮闘する中で「え、これって〇〇だったの?!」と感じたことを綴っていく連載企画。今回のテーマは、いよいよ「出産」です!
出産前後の夫がやるべきこととは・・・?
さて、いよいよ今回のテーマは出産です。これに関しては書きたいことがありすぎて、何を書いていいのやら・・・というかんじなのですが、陣痛の痛いや何やや生まれて感動!みたいな体験談は巷にあふれているので、今回は出産前後における夫のサポートに的を絞って書いていきたいと思います。
まず、私の夫について。32歳(当時)。自営業。性格は優しい、人当たり良し、掃除好き。
特別子ども好きというわけではないものの、私の妊娠がわかるや否やひよこくらぶを買って帰るくらい、第一子の誕生は心待ちにしてくれていました。
立ち会い出産は迷う余地なく断念
さて、出産前後における夫の役割というと、まず立会い出産が思い浮かぶと思います。これに関しては、私が出産した石巻赤十字病院では、立会い出産は試験導入として月に数組だけと決まっており、私が受診した時にはもうその枠は埋まってしまっていたので、考える余地もなく立会い出産ではありませんでした。
(ちなみに、現在は希望すれば立会い出産ができるようになったそうです。また、登米市にあった立ち会い出産OKの産院は今年度で分娩をやめてしまうそうです。選択肢が減るのは残念・・・。)
しかし立会いといえば陣痛に耐えるのに必死の妻が夫に当たる、キレる、喧嘩になる…といった話もよく聞いていたので、最初からダメと決まってくれてかえってよかったなと思っていました。
いよいよ出産!試される夫力
夫の目線で出産前後にやることをあげると、次の4つになると思います。(ここでの「出産前後」とは、出産予定日が近づいてきたあたりから、出産して母子が退院してくるまでとします)
1、陣痛に備えて、いつでも車を出せる準備をしておく
2、いつ生まれてもいいようにあらかじめ仕事の調整をしておく
3、逐一、親族等へ連絡をする
4、とにかく、妻の側にいる
改めて考えてみると、出産に関してはこれといって「サポート」というほどのかっこいい役割ってないんですよね。だって病院に着いてしまえば万全の態勢が整ってるし、産んでしまえばそのまま入院だし。ただ、側にいる、これに尽きると思います。その理由については後ほど。
1、陣痛に備えて、いつでも車を出せる準備をしておく
私が出産した石巻赤十字病院は、自宅から車で50分ほどかかるところでした。そういうと、「え、そんなにかかるの?心配じゃない?」と思われるかもしれませんが、初産の場合は早くても4時間はかかると聞いていたので、間に合わないということはないだろうと思っていました。しかも、ほとんど三陸自動車道に乗っていれば着くので、渋滞も道路凍結も気にしなくて良いという点ではむしろ安心です。
ちなみに、入院中、病院から5分のところに住んでるのにもかかわらず、急にお産が進んでしまって自宅で産んで母子ともに救急車で搬送されて来ちゃったよあはは。という人に出会いこっちが肝を冷やす思いをしたので、油断は禁物ですが・・・。
前置きが長くなりましたが、夫としての第1のミッションは、陣痛が始まった妻を無事に病院まで送り届けることです。
よく育児雑誌には、臨月近くなったら運転は控えて、と書いてあったりしますが、私の場合は体調も良かったので普段通り運転していました。妊娠中は車移動が本当に楽です。妊娠8ヶ月の時に東京出張に行ったことがあり、ドキドキしながらマタニティマークをつけて電車に乗ったら見事に立ちっぱなしで、東京の妊婦さんは大変だなあと心底思いました。
しかし、いくら健康な妊婦でも、さすがに「陣痛来たかも…」となったら自力で運転はできません。(病院でも、必ず誰かに乗せてきてもらうように言われました)いざその時に「あ、ごめん俺お酒飲んじゃったわ」だと話にならないので、予定日間近になったらお酒や飲み会のお誘いは控えてもらいます。というか、車社会なので車はいつでも出せるので、お酒を飲まない、ただこれだけですね、はい。
私の場合は明け方4時半頃、お腹が痛くて目が覚めて、痛さの波の時間を測ってみたら4分間隔。いきなりこんなに間隔短いものだろうかと思いながら、夫を起こして病院に連れていってもらいました。まだこの時は余裕があったので、道中YouTubeで陣痛の時の呼吸法、とか産む直前のいきみ方、とか見てイメトレしてましたね。
2、いつ産まれてもいいように、仕事の調整をしておく
夫は自営業で映像制作やデザインの仕事をしているのですが、予定日近くに入るアポイントに関しては「もし出産と重なったら調整させてください」という旨は相手方に伝えてくれていたそうです。
夫としては、出産の当日さえ調整できればいいだろうという心づもりだったのですが、実はそうもいかないことが判明します。この地域では、海関係、山関係の仕事をしているところでは、子どもが生まれた人間はしばらくは現場に足を踏み入れちゃいけない、という慣習があるのです。
海関係と山関係っていうと、この町ではかなりの現場が当てはまってしまいます。ちょうど、予定していた水産加工、林業、造船等の現場の撮影は全て延期に。夫は日程を再調整するのが大変だったそうですが、おかげで毎日病院に顔を出せるようになったので、私としては嬉しい想定外でした。
出産をけがれとみなす文化は古来からあるのでしょうが、それが未だに慣習として残っていることに驚きました。ある会社の専務さん曰く「いやぁ、ぶっちゃけ俺はどうでもいいと思ってるんだけど、やっぱ現場の職人さんは気にするんだよね」とのこと。もしかすると、けがれとか縁起が悪いとかいうのを口実にして、子どもが生まれた直後くらい仕事せずに奥さんの側にいてやんな、という昔の人の優しさなのかなとも思ったりしました。つまり今で言うところの産休?
男性に強制的に産休をとらせるなんて、昔の人のほうがよっぽどワークライフバランスができてますね。
※この慣習の理由に関しては諸説あり、上記は筆者の憶測も含みます。
というところで、今回はここまで!
あとの2つは次回をお楽しみに!