5月24日(木)、歌津公民館にて復興支援講演会「悲しみから生まれるもの」が開催されました。講演と演奏会、お茶会を通し、参加者一人ひとりが思いを語り合う時間となりました。
5回目を迎えた講演会
歌津公民館にて、復興支援講演会「悲しみから生まれるもの」が開かれました。講師は龍谷大学の鍋島直樹教授。先生のもとで研究に励む大学院生の方々も参加し、講演後の演奏会やお茶会で参加者と交流を深めました。
講演会は、歌津婦人会が主催し、歌津公民館が共催となり開かれました。鍋島先生は阪神淡路大震災で被災した経験から、大きな災害が起こるたび現地に赴き、物心両面の支援を継続的に行っています。先生と南三陸町の関わりは震災直後から続き、講演会は今年で5回目。このイベントは、住民にとってコミュニティづくりの場になると同時に、訪れる大学院生の方々にとってもコミュニケーションの研修をする場となっています。
聴く、歌う、語る
最初のプログラムは、鍋島先生の講演。大学院生の方々を紹介し、「今日ここに来たのはひとえに、皆様に勉強させていただくため。学生たちに色々な経験を聞かせてほしい」と会の目的を述べました。
講演は、これまでの支援活動を通して得られた言葉を紹介しながら、丁寧かつ温かな語り口で進められました。講演の最後には、先生直筆のメッセージが歌津婦人会会長の佐藤ふく子さんに手渡されました。
講演の後には、大学院生の方々による演奏会が行われました。木管楽器を軸とした柔らかい音色で、「ふるさと」「川の流れのように」「365日の紙飛行機」など、いくつかのなじみ深い曲を演奏。最後には、この講演会で毎年歌っている「しあわせ運べるように」を、参加者全員で手をとりあい合唱しました。
演奏会後は、机を組み替えお茶会を開催。鍋島先生や大学院生の方々も席を交え、イベントの感想や最近の暮らしなどについて、参加者の話を丁寧に聴いていました。
思いを語る場、聴く人の必要性
お茶会での話題は、他愛もないことから、次第に深い話へ。講演や音楽、お茶会を通し、感極まる方も多く見られました。
龍谷大学大学院助手の金澤豊さんは「つらい出来事があったとき、悲しみや怒りの感情がわくのは自然なこと。家に帰った時に、『今日は若い人に話せてよかったな』と気持ちが和らぐような場をつくっていけたら」と話します。
イベントの意義について、歌津公民館職員の小野寺大樹さんは「住民の方々にとって、心のよりどころになれたら、との想いで支援を続けていただいている。大変ありがたいこと」と語ります。歌津婦人会会長の佐藤ふく子さんは「先生のお話を聞くだけでも心が和む。参加することに意義があるので、より多くの人に呼びかけていきたい」と意気込みます。
思いを語る場所、語りを聴く人の存在は、これからも必要とされることでしょう。