東日本大震災から間もなく6年を迎える南三陸町。そこでは、今年も晴れの日を迎えた新成人がいます!彼らには将来のふるさとに対する夢や希望が多くあります。今回は、成人式の様子と新成人が述べた誓いをレポートします。
晴れの日を迎えた南三陸町
平成29年1月8日。温かな太陽が南三陸町の海を明るく照らします!
南三陸町総合体育館でこの日、平成28年度成人式が開催されました。今年度、晴れて新成人となったのは184名。男性が107名。女性が77名。それぞれの成人式を迎えました。
式では、南三陸町民憲章の唱和や、町職員でもある浅野祐介くんによる新成人の誓いが行われました。また今回の式の記念トークとして、BuzzFeed Japanの創刊編集長である古田大輔さんから、「これだけ覚えておけば人生なんとかなる たったひとつのこと5選」という演題のもと、新成人へのアドバイスが送られました。
それぞれの期待を胸に迎えた新成人184名。その中から南三陸町内にある志津川、歌津、戸倉、入谷の4地区から将来に向けての夢を語ってくれた新成人の声をお届けします!
新成人それぞれの誓い
歌津地区 新成人
南三陸町を代表する田束山の麓に位置する歌津地区。元々は歌津町でしたが、平成17年の市町村合併によって、志津川、戸倉、入谷の3地区がある志津川町と合併し現在の南三陸町が誕生しました。そんな歌津地区からは、凛々しく力強い2名の新成人がインタビューに答えてくれました。
南三陸町の復興に熱い思いを語ってくれたのは、印刷関係の会社に勤務する三浦耕治郎くん。彼の周りには自然に仲間が集まってきます。成人式後に開催された同級会を盛り上げるのも彼の仕事。三浦くんは「皆が集まる機会が今後も欲しい! 仲間同士で語り合うことが町の将来を考える事になる」と志高く語ってくれました。
もう1人、同級会の席を盛り上げるムードメーカーがいました。現在、宮城教育大学に在学している大坂凌平くん。彼は私の大学の後輩です。「将来を担う子どもたちには様々な経験を積んでほしい。そのような指導をして、これからの震災復興を担う子どもたちを育んでいきたい」彼は、教員となり、未来の子どもたちに東日本大震災からの復興を託していきたいと語っていました。この言葉には彼自身の強い思いと未来への希望がうかがえます。
入谷地区 新成人
南三陸町の中でも特に歴史が深い入谷地区。仙台藩が生み出した技術産業である養蚕加工が始まったのもこの地区からです。そんな入谷地区を代表して須藤奈央さんにお話を聞きました。
「本当に楽しい時間で懐かしさも感じます!」同級生と再会する時間を感慨深そうに話してくれた須藤さん。彼女は現在、隣町にある葬儀社に勤務しています。彼女は将来を見据えてこのように語りました。
「いずれは地元で働きたい。今の仕事で必要なことは“思いやり”。今後もその気持ちを大切にしていきたい」
彼女が持つ思いやり。震災後は私たちの元にも全国各地から温かな“思いやり”が届けられました。須藤さんもまた、届けられた分の恩返しとして“思いやり”を多くの人々に届けていくことでしょう。
戸倉地区
南三陸町随一の熱き魂を持つ漁師たちがいる戸倉地区。この地区にある名勝地の神割崎は、絶景の日の出スポットとして観光客が多く集まります。この地区で特に印象的だった新成人1人のインタビューを紹介します。
「将来は消防士になって町の安全を支えたい!」そう宣言した熱き男は三浦貴裕くん。彼は現在、東北福祉大学に在学し“救急医学”を特に学んでいるといいます。彼の学びのきっかけとなったのもあの大震災でした。「同級生の死をただの犠牲にせず、将来の命を守っていくことが自分の役目」心打たれるメッセージです。
彼らの成長を傍で見守ってきた菊田浩文先生(現 志津川中学校・主幹教諭)は皆にこう語りかけました。
「あの震災があったから今の君たちがあります」菊田先生は新成人を前にして、改めて東日本大震災の経験を伝えました。三浦くんもまた、東日本大震災で生かされた1人として前を向いて進んでいます。
志津川地区
東の志津川、西の明石と言われるほどタコが代表的な魚介類である志津川地区。この地区からは、人に寄り添いながら自らの将来を見据えようとしている新成人を紹介します。
「この記念すべき日を迎えてまずは両親にありがとう!と伝えたい」素直にこう話すのは佐藤紗加さん。佐藤さんは、この春に現在通っている気仙沼の准看護学校を卒業し、介護関係の仕事に就くことが決まっています。そんな紗加さんには同級生だけではなく、さらに力強い応援団がいます。それは、紗加さんの周りを囲む家族です。「これからも宜しくお願いします」式に参加する前、彼女は思いの丈を家族に伝えました。その思いが届いたのか、紗加さんが家族と共にした写真は、明るさを取り戻す南三陸町が想像できる1枚となりました。
むすびに
今回の成人式では新成人それぞれが将来の抱負を述べてくれました。今後も復興へ向けてさらに加速する南三陸町。
“若いちから”が今後の町を再生し、支え続けていくことでしょう。