かつて志津川にあった映画館が「新志津川みなと座」として一日限りの復活

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かつて志津川の町中にあった映画館「みなと座」。構想3年、企画3か月。新しい高台の造成地にて一日限りの「新みなと座」として復活しました。昭和を懐かしむ多くの住民で賑わいをみせていました。

新しい暮らしの中で

平成30年4月、高台に新たに造成された志津川東地区内に「みんなの居場所・ささえあいの拠点」が完成、「結の里」と名付けられました。役場や病院が徒歩圏内にあり、復興住宅の戸数が町内で最も多いこのエリアでは、高齢者の数も多くなっています。新たな環境で知り合いを増やしながら生活していくための相互協力や課題解決が必要になります。

「結の里」は、志津川地区デイサービスが併設されていますが、町民の誰もが安心して暮らせるよう、福祉・生活支援サービスを提供するとともに、子どもから高齢者まで気軽に集まって交流したり、お互いに支え合うことのできる地域づくりを目指す拠点として、社会福祉法人南三陸町社会福祉協議会(以下「社協」という)の職員が常駐、管理運営しています。

この施設が完成する前の平成29年8月、「(仮称)地域ささえあいモール」をどのように活用すべきかをテーマに住民会議が開催され、ワイワイガヤガヤ新たな暮らしを楽しく過ごせるような期待感溢れるアイディアがたくさん出されました。この話し合いが、後々の住民交流活動の基礎になります。

施設内にある『えんがわカフェ』には住民の手作り作品の展示販売コーナーもあり、利用者や来訪者が気軽に利用できる癒しの空間になっています。

実行委員会イベント部会が映画会を企画

「走らないミニ運動会」を実施したイベント部会のメンバーは、「ミニ食堂」や「ほっとカフェ」などの分科会メンバーと共に施設オープンの際も準備に携わってオープニングセレモニーを盛り上げました。

結の里イベント実行委員会と名称を変えたチームは、時には町外の支援団体とタイアップしたり、社協やLSAの方々のお手伝いをしながら継続的にイベントを開催してきました。えんがわカフェからリアスふれあい広場(デッキ)、さらに東復興住宅第二集会所や芝生広場まで有効に使用できるようになったので、多くの住民を巻き込むことが可能となりました。

2回目の「走らないミニ運動会」を成功させたイベントチームは、さらに次の企画を練っていました。2か月限定の実証実験・めぐるステーション終了後の冬期間は、えんがわカフェにさえも来られない住民が多いだろうと考え、屋内で楽しめるプランとして映画会を企画提案しました。

「仮設暮らしの頃から、震災前の、いや昭和の志津川が懐かしいという声があり、その話題が出ればみんな笑顔になった。特に盛り上がったのが、かつて志津川にあった映画館『みなと座』が賑わっていた頃の街」の話。

そんなバックボーンもあり、その映画会を「みなと座復活!」としましたが、実行委員の方々が賛同してくれたものの、どれだけの方が来て下さるのかは予想がつかず、不安もいっぱいありました。

「どんな映画を流す?」「いつやる?」「どこでやる?」から「こんな風にやれないか?!」まで、延々。

そこで決まったのが公営住宅の集会所を会場にして「平成最後のお正月に平成最初に上映された寅さんを観よう!」でした。

実行委員は午前中から舞台づくりをこなします

新みなと座 準備完了

立て看板「新春ロードショー」に誘われて集会所の玄関を開けると、そこは古き良き昭和の雰囲気。当時街中に貼られていたポスターに懐かしさが倍増!入り口には「もぎり=入場券販売窓口」もある。「今回は著作権の関係で無料上映会とさせて頂きましたが、当時の映画館らしく入場券交換所の窓口を設置しました」

「あら~懐かしいこと~」

「んだよね~!みなと座ってこんな感じでしたか?」

「忘れだっちゃわ~、でも窓口はあったよね」

そんな会話が飛び交っています。

裏方が表舞台に立ってご挨拶

上映間近の短い時間に「はい、舞台挨拶してきて!」と促される。でも、まんざらでもない裏方さんたちは、寅さん以上に笑いを取っていました。

当初の不安をよそに、並べた椅子(40脚)では足りないほどの住民が集まってくれた初の映画会に、化粧を施した実行委員の皆さんも安堵の表情。さらに「こういうの、私たちの得意分野だから!」と開催を苦労と思わない社協職員も感無量といった様子でした。

気を良くした実行委員会では、「次はどんな面白い事仕掛けようかな?!」と既に何かを企み始めているようです。

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