産業支援でつながりを育む/埼玉工業大学「出会いのM3ゼミ」

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4月21日、2012年から続くSAKURA PROJECTS の植樹祭が行われました。今回は、お花見会をひころの里で開催。出店団体の一つ、埼玉工業大学「出会いのM3ゼミ」の活動や想いを取材しました。

2012年から続く植樹祭、初のお花見会を開催

SAKURA PROJECTSは、2012年から続く植樹の取り組みです。活動を主催するLOOM NIPPONは、産業による被災地復興支援を手がける一般社団法人。南三陸町においても、雇用創出や地域産業の活性化に取り組んでいます。「LOOM BAG collection」と題したプロジェクトでは、南三陸町の地元企業(株)アストロ・テックとコラボし、織り込んだバッグを東京や大阪などの大都市圏で販売しました。

「若い苗木を子供たちの手で植樹し、この活動を通じ子供たちとその将来に希望をもたらしたい。(中略)南三陸町の復興に合わせ、長い時間をかけていき、東北一の桜の名所を作ります」(LOOM NIPPON ホームページより)。目標は3000本。今回、遊電館前にて新たに13本の植樹を行い、植樹はのべ1123本に達しました。今年は、2013年に植樹を行ったひころの里にて初の「お花見会」を開催。桜の木の成長と、プロジェクトの積み重ねを感じられる節目となりました。

当日は晴天に恵まれ、会場は多くの来場者で賑わいました。トコヤッサイの披露、シンガーソングライターのセレイナ・アンさんによる歌の弾き語り、餅まきなど、多くのステージイベントが開かれました。佐藤仁町長はあいさつで「最初の時の植樹は、雨の中、戸倉中学校のグラウンドでやったことを、昨日のように思い出します」と述べ、これまでの植樹祭や町の復興を振り返りました。そして、志津川地区のグランドデザインや復興祈念公園建設計画などにふれ、今後の展望を示しました。

LOOM NIPPON

http://www.loom.or.jp/index.html

南三陸と埼玉をつなぐ「出会いのM3ゼミ」

植樹祭とお花見会には、町内の関係者だけでなく、町外からのボランティアも多く参加しました。その一つが、埼玉工業大学「出会いのM3ゼミ」。産業支援ボランティアで南三陸と埼玉の橋渡しをするべく、ブースを出店しました。

ゼミ名の由来は、「みんなで また行きたい 南三陸」の頭文字をとり、「M3」。「出会い」には、「南三陸でしかできない経験をし、町の人と交わり、新しい自分にも出会う」という意味がこめられています。ゼミの活動は、南三陸町におけるフィールドワークと、大学での南三陸町に関する情報発信。幅広い学部・学年からメンバーが集まり、学生主体で運営されているのが特徴です。

ゼミの発足は2017年3月。「学生が自分たちで考えて何かをするっていうことをいずれはやりたい」という担当教員の想い、「埼玉工業大学単独で南三陸スタディツアーをやりたい」という初代ゼミ長の想いが重なり、創立に至りました。同年夏にスタディツアーを実施し、代替わりして今回の活動に至ります。

今回は、植樹祭に参加したほか、お花見会でも多くのブースを出店。「深谷ネギ」を活かした焼きそば店や物販コーナーを開き、「産業」で大学の地元と南三陸をつなぎました。会場入り口に設置した桜のメッセージボードには、南三陸への温かなメッセージが数多く集まりました。加えて、トコヤッサイの披露に交わり、余興のカラオケ大会にも参戦するなど、お祭りの盛り上げにも一役買いました。

南三陸だからこそ得られる、出会いと学び

「南三陸に行きなさい。人生観変わるよ」。ゼミを受け持つ松浦宏昭准教授は、この言葉をきっかけに南三陸と出会いました。2014年の夏、教員企画の学生スタディツアーを前に、一人で町を初訪問。「本当に人生観が変わって、これは学生には絶対効果があると。現地でちゃんと見て、感じて、自分の中で考えて、自分なりにどういうことができるのか彼らに見出してもらうというのは、すごく大きなこと」「能動的に彼らが活動していく場所としては、南三陸町は非常に貴重な場所だし、ここに来てやらなければ意味がない。必ず年に1回、できれば年2回行ってほしい」。

「現地だからこそ得られる学び」は、活動する学生たちの言葉からもうかがえます。第2代ゼミ長の加納充浩さん(3年生)は、「去年初めて来た時も、すごく活気があり、元気をもらえた。自分のそばにあるような温かい雰囲気があり、地元とは違うものが得られたという実感があった」。今回初めて南三陸で活動した張替康弘さん(3年生)も、「現地に来てみると、思ったより元気があり、一人ひとりに対して向き合う姿勢が普段いる友達とは違うなと感じた」と話します。

桜を植え、町に希望を育てること。南三陸に通い、そこでしか得られない出会いと学びを積み重ねること。これからも紡がれていく物語に、期待が高まります。

(写真左から)張替さん、加納さん、松浦准教授

 

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