ほっとけない精神が息づく南三陸ならではの子育てのカタチ

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ほっとけない精神が息づく南三陸ならではの子育てのカタチ

子育て支援に力を入れている南三陸町。ハード面は整いつつありますが、実際の子育て環境はどうなのでしょうか。南三陸で長年子育てに携わってこられた、元・南三陸町立名足保育園 園長の三浦房江さんに話を聞きました。

かつての南三陸の子育て環境は?

現在の南三陸町の子育て環境は、昔と大きく変わったのでしょうか? その変遷を知るには、長年子育て現場に関わってこられた方にお話を伺うのが一番。というわけで、元・南三陸町立名足保育園 園長であり、現在は歌津地区放課後児童クラブでスタッフを務める三浦房江さんを訪ねました。

―まず、かつての子育て環境がどのようなものだったのか、教えていただけますか。

私が子どもの頃は、地域みんなで子どもを見守る風土がありました。悪いことをしたら近所の人に怒られましたし。自分の家以外の子どもに対しても、関心を持っていましたね。私が子育てをしていた頃も、まだまだ隣近所の付き合いがあり、お互いに助け合っていました。

―三浦さんが子育てをされていた頃はいかがでしたか?

少子化の進行や産業構造の変化などもあり、子育て環境は大きく変わってきました。保育現場での事故が相次いだことで、外遊びをさせにくくなりましたし、お泊まり保育もなくなりました。さらに、ここ15年ほどは、お子さんのちょっとしたケガに親御さんが敏感に反応するようになりましたので、子どもに対しては“保護する”姿勢が強まったように思います。保育士たちは、いかに実体験をさせるか苦労していましたね。

ほっとけない精神が息づく南三陸ならではの子育てのカタチ
インタビューは三浦房枝さんのご自宅で行いました

震災後に意外な変化が…

―自然豊かな南三陸町ですらそのような状況だったとは驚きました。保育現場では、どのような対応・工夫をされたのですか?

保育所と幼稚園が連携して「幼保連絡協議会」が立ち上がりました。その根底にあったのは、「同じ保育に携わる者として、そして同じ町に住む大人として、大切なことを子どもたちに伝えていこう!」という想いです。土山を作って泥遊びをしたり、さつまいも掘りをしたりと、自然に触れる体験を行うとともに、幼保合同で運動会を実施して交流を深めたりしました。保育現場では『町にいる子どもたちはみんな一緒』と考えていましたから。幼保連絡協議会は、残念ながら東日本大震災後はストップしている状態ですが…。

―震災の影響で町内の子どもの数は減ってしまい、遊び場もないと聞きました。子育てにはなかなか厳しい環境のように思えますが、大丈夫なのでしょうか?

現在、保育所や学童などの施設は整えられつつあります。「子どもたちを安心・安全な環境で育てたい!」という熱い想いを持つ保育士もたくさんいます。町からもさまざまな子育て支援がありますし、ハード面・ソフト面ともに体制はバッチリだと言えますね。そして、震災後にひとつ良い変化がありました。小中学生の通学がバスでの送迎になったことで、バス乗降場に親や祖父母が集まるようになり、交流が生まれ、昔のようによその子どもにも関心が向くようになったのです。

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志津川地区放課後児童クラブの様子

障害を持つ子どもへのサポートも充実

―地域の大人が関心を持って見ていてくれるというのは、子どもたちにとってもうれしいことですよね。ほかに、南三陸町の子育てで特徴的なことはありますか?

障害を持つ子どもの保育ですね。南三陸町の保育所では、障害児一人ひとりに資格を持った職員が付きます。いろんな特徴を持つ子どもが一緒に育つということが、南三陸町ではわりと早い時期から自然に行われてきたのです。それが、子どもたちの心の育ちや、人を認めることにつながります。

―すばらしいですね。小学校ではどうですか?

就学時についてもお子さんのこれまでの育ちを小学校につなぐという幼稚園、保育所、小学校で構成される初保小連絡会が持たれます。又、町の教育委員会との就学指導委員会という組織があって就学時には、お子さんにとってより良い進路を考え出生から関わる保健師さんも連携して必要なサポートを一緒に考えたりと、各所が連携してこどもの心、育ちを見守る体制になっていると思いますよ。

“ほっとけない精神”で子どもを見守る

―手厚い子育てサポートや、地域全体で子どもを見守っていこうという姿勢があるのは、南三陸町の地域性と関係があるのでしょうか。

見て見ぬふりができないのが南三陸の町民性。“ほっとけない“精神があるんでしょうね。どんな子どもも、町の子どもとして、みんなで見守り育てていく――。子育て環境が変化し、また震災の影響がある中でも、南三陸町にはその精神が息づいています。

―南三陸町には、そういった目に見えない部分でも子育てへの安心感があるように思います。その点は、親御さんにとって心強いでしょうね。

子育て支援・保育の現場では、子どもを通じて親をつなげることにも力をいれています。子どもを育てる親同士がつながることで、地域がつながる。そして、みんながつながればよい町になると信じています。

―最後に、「南三陸なう」の読者や、子育て世代に向けてのメッセージをお願いします。

子どもの将来を考える親の力は、何よりも強いと思います。ご自身の“今”の時間も大切にしながら、子どもの将来のためにがんばってください。南三陸町では、がんばる親御さんを支えるためのソフトもハードも充実していますから。ぜひ南三陸町で子育てをして、一緒に良い町をつくっていきましょう!

―三浦さんのような方がいらっしゃると、安心して南三陸で子育てができそうな気がします。今日はありがとうございました。

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