ひころの里 リニューアルオープン&ひころマルシェ開催

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ひころの里リニューアルオープン&「ひころマルシェ」開催

入谷の里文化が体験できる「ひころの里」がリニューアルオープンを迎えました。記念すべき再オープン日には、豊かな自然の中で健やかに生きる人たちのためのイベント「ひころマルシェ」も開催されました。

入谷と養蚕の歴史

海が注目されがちな南三陸町。そんな中、山里の地域にあり、町内でもひときわのどかな空気が漂うのが入谷地区です。かつては産金でたいへんに栄え、「入谷千軒」と称されるほど家々が立ち並んだと伝えられます。花崗岩の巨石が至る所に点在し、また数々の民話が残り「宮城の遠野」と呼ばれることもあります。

沿岸部が漁業中心であるのに対し農業や畜産業が主産業となっており、土地の大部分を占める山林と田園が、四季折々さまざまな表情を見せてくれる、とても美しい地域です。

産金の衰勢後は、山内甚之丞により養蚕と製糸技術が伝えられ、仙台藩の養蚕発祥の地として県内の養蚕業の拠点を担っていました。かつては志津川地区に製糸工場も存在し、ここでつくられたシルク生糸「金華山」は、パリの万博でグランプリも受賞しています。

現在でも入谷に古くから残る旧家には、養蚕業を営んでいた造りや器具が残されている事が多いです。

ひころの里リニューアルオープン&「ひころマルシェ」開催
南三陸町入谷地域 花見山から眺めた初夏の風景

入谷の文化を伝える「ひころの里」

養蚕を中心に入谷の里文化と歴史を伝え、新たな地域再生の力にするべく、町が平成7年に設置したのが「ひころの里」です。

「ひころ」とは、地域の言葉で「光」の意味。

町文化財に指定され旧家のくらしぶりを色濃く残す「松笠屋敷」や、養蚕文化の伝統を伝える「シルク館」などがあり、地域活動の拠点として、あるいは観光施設として重宝されています。

また、敷地内には豊かな自然が残り、広い芝生の広場は地域の子どもたちの遊び場としても活躍しています。

ひころの里リニューアルオープン&「ひころマルシェ」開催

ひころの里、リニューアルオープン

2016年から指定管理者が変更となった、ひころの里。「自然とともに生きる知恵 孫の孫まで伝えたい」と決意新たに、晴れて5月22日、リニューアルオープンを迎えました。

これまで未利用であった建物を利用したカフェスペース「cocoro no sato ふれあい茶屋」では、コーヒーやかりんとうまんじゅうを味わいながら、涼しい風を浴びてひと休み。ふれあい茶屋で提供されるかりんとうまんじゅうは、みんな大好き・売り切れ必至商品です。

食事処「ばっかり茶屋」では、地域のお母さんたちが丹精込めた郷土料理を楽しめます。蕎麦御膳では十割蕎麦に季節の天ぷらがつき、地域の旬の味覚を堪能できます。

入谷のグリーンツーリズムインストラクターたちが提供する各種体験も用意され、再オープン日のこの日も、オープニング企画として、野草を摘み、その場で味わえる「野草つみ散歩」が実施されました。

ひころの里リニューアルオープン&「ひころマルシェ」開催

「ひころマルシェ」開催

リニューアルオープン日には同時企画として、遊び・食・体験・買い物と、さまざまな出店ブースが一堂に会した「ひころマルシェ」も開催されました。

「おいしい、楽しい、すこやかなくらしを、この土地で」というテーマの通り、この土地らしい、地域の良い所を存分に体現した出店者たちが、町内や近隣市町村から集まりました。

おいしく健康的な飲食物の販売、採れたて旬の農産物の販売、楽しくエコな体験ブース、自然を使ってのびのびと遊ぶ遊びのコーナー、広い芝生でのヨガ体験などなどに、訪れたお客さんたちも自然と笑顔を見せます。

ひころの里リニューアルオープン&「ひころマルシェ」開催

地域資源を活かす

居心地よく気持ちの良い雰囲気を醸し出している要素の一つは、徹底された会場のデザイン。

ブルーシートや鉄骨テントは使わない。かわりに竹や木を使う。

地域にあるものを使うことで、地域の景観やくらしに馴染んだ雰囲気づくりができると、主催のNPO法人ウィメンズアイのみなさんは考えます。

子ども遊び場コーナーには切り出した竹で手づくりされた竹馬や竹かっぽ、森のようちえん・しょうがっこう体験では里内の森や池に探検にいき自然と触れ合って遊ぶ。現代の便利なくらしや用意されたたくさんの遊びの中で、忘れかけられている楽しさを、子どもたちにも伝えます。

片隅では廃材を用いてその場で木工作業をする人、思い思いにシートやテントを広げピクニックをする人、芝生の土手に腰掛けギターをつま弾くなど、穏やかで自由な空気が漂います。

ひころの里リニューアルオープン&「ひころマルシェ」開催

地域の魅力を活かした、地域らしいくらしを目指して

便利な道具が蔓延し情報化が進む現代社会で、たとえ人口が1万人あまりのこの地方社会の中でも、東京とさほど変わらないくらしをすることは可能です。

くらしがある意味で豊かになって行く中で、失われていく地域の文化や歴史・伝統、そして地域らしさ・特色・魅力があることも確かです。

地域に存在する資源を利用しないことで里山や里海は荒廃し、気づいた時には貴重な魅力はもう無いかもしれません。

入谷の郷土や文化、美しさ、楽しさ、おいしさ、すこやかさ、そんなものたちを今一度思い出させてくれる魅力が、ひころの里とひころマルシェにはありました。

運動会の翌日にもかかわらず、元気に走り回る入谷の子たちのすこやかな笑顔が、地域資源の豊かさを物語っていました。

「いつでも気軽に遊びに来てほしい」と語るのは、リニューアルにあたり新たに管理者の一員となられた山内恵美子さん。地域の魅力を活かした、地域らしさを、ひころの里で体感してみませんか?

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