秋雨前線も一休みした土曜日、「走らないミニ運動会」と称したちょっと変わった住民運動会が開かれていました。住民が自ら企画したこの活動を取材してきました。
走れない人も走れる人もみんな一緒に
秋晴れの空高い10月14日(土)、まもなく完成後1年を迎える志津川地区東団地の広場からは賑やかな歓声が聞こえていました。
「走らないミニ運動会」は住民で結成された実行委員会が主体となり開催した催しです。 (仮)地域ささえあいいモールの運営にかかわっている住民と社会福祉協議会を中心とした町内の団体、組織が協力して企画をしました。
以前は行政区ごとに住民運動会が行われていたそうですが、途絶え、震災もあり約10年お休みした運動会。怪我の防止と誰でもみんなが参加できるようにとの思いから凝らした工夫が「走らないミニ運動会」だそうです。
この日は前日の雨が嘘のような秋晴れで、会場には町内から集まった75名の参加者と運営スタッフ、ボランティアの学生さんなど、100名以上の人が中央広場にあつまり、賑わっていました。
参加者の募集はチラシを各施設に設置したり、町の広報に挟み込み呼びかけました。当日集まった大半が東団地の住民ですが、中には戸倉地区からいらした方やお子さん連れの若い家族の姿もあり、参加した方は割り振られたチームでそれぞれに交流を深めていました。
白熱する競技!自然とあふれる笑顔
チームは赤・青・黄色の3チーム、大きな声をあげ応援。ポンポンを握る手にも力が入ります。
競技は輪投げ、ボール渡し、グラウンドゴルフ、ビッグボーリング、玉入れの5種目。
走らない運動会と聞いて、失礼ながら動きが少なくお年寄りが多い地味な運動会なのだと勝手なイメージをしていましたが、見て驚きました!会場は大盛り上がり!!
「もうみんな聞いてよ~~~!」と声を張り上げる司会進行の女性。みんなが盛り上がりすぎてルールを聞いてくれない~とお困りの様子。それを見てまた笑う参加者のみなさん。運営のサポートをするみなさんも様々な演出で盛り上げてくれます。
年齢も性別も関係なくみんな夢中。一番驚いたのはお年寄りの方々のパワー。開会式前とは別人、3倍位身軽になって、走らなくてもいいというのにみなさん元気に動き回っていました。
あちこちで歓声が上がり、見ている私もつい声を上げて笑い応援してしまいました。エネルギーと笑顔いっぱいの活気ある運動会でした!
それぞれの想いとこれから
ポンポンがボロボロになるほど熱狂的に応援していた女性たちに声を掛けました。この団地にお住いのお二人は競技の進行に一喜一憂。
「思わず夢中になっちゃうね!おもしろいよ!」
「震災後初めての運動会なの。日常が戻ったみたいで嬉しい。」
満面の笑みで答えてくれました。
開会のあいさつをした鈴木さんは、根っからの南三陸人。
「10年くらい前までやっていた地区ごとの運動会はスウェーデンリレーというのがあってね。各年代から1人ずつの代表がリレーをするんだけど、これが面白くてね~。みんなの真剣な顔を見ていると昔の運動会を思い出すよ」と感慨深そうに話しました。
ちびっこ応援団もとんだり跳ねたり「ガンバレー!ガンバレー!」と応援。
「娘が出でるのよ」とベンチに座って目を細めながら見守るおばあちゃん。
「知らない人でも同じチームになっとさ、話がでぎだり盛り上がっだり、自然と交流が深まっがらいいね」
「もう楽しくて楽しくて~これから毎年やってほしいな」
こんな声も多く聞こえました。
今後、志津川中学校下に建設予定の町営グラウンド。それが完成したらそこでまた町民運動会を復活させたいとの思いがある「これはその足掛かりで先駆けでもあるんですよ」と話す鈴木さん。
みんなが待ち望む運動会の復活まではもう少しかかりそうです。でも、それまでは走れる人も、走れない人もこうして新しいコミュニティを育み、その日を待つようです。