スポーツで町を変革!22才新社会人の挑戦!/佐藤慶治くん

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スポーツで町を変革!22才新社会人の挑戦!/佐藤慶治くん

南三陸に生きる人を巡り、一巡りしていく連載企画「南三陸ひとめぐり」。第二弾はこの4月から南三陸で新社会人としてUターンしてきた佐藤慶治くん。「スポーツで町を変えたい!」という大きな野望に迫りました。

南三陸町に新社会人としてUターン

この春、南三陸で晴れて社会人としてのスタートをきった者がいる。南三陸町出身で東北福祉大学へ進学、卒業と同時に南三陸に戻ってきた、いわゆるUターンだ。だが、その働き方は一般の新卒社会人のそれとは大きく異なる。一般社団法人南三陸町観光協会にパート職員として勤務しながら、残りを高校生など若者支援を行うNPO法人底上げでの活動、個人の事業や学習といった時間を当てている。

都心に出て、遊びに没頭したい年頃だろう。同年代の多くは町外に出て、戻ってくることは多くない。しかし、彼は「南三陸町に戻ってくる」という以外の選択が思い浮かばなかったという。その背景には、自分が育ったこの町で叶えたい夢があった。

学生時代は、自然豊かな町全体がフィールド

学生時代は陸上にのめり込んだ。その練習場所はトラックだけではない。入谷の自然豊かな山あいをランニングし、海岸沿いの松原公園を駆け抜けた。佐藤くんにとって、この町全体がフィールドだった。

「今思えば、あれがあったから地元に愛着を湧いていたのかなあって。この町が好きという単純な言葉が意味することは、ぼくにとってはスポーツと切り離せないものなんです」

そんな町を東日本大震災が襲った。佐藤くんが高校2年生のときだ。それから町の状況は一変。大学生となり、自身が立ち上げた団体で、語り部として南三陸に戻ってくる機会があった。その際に目にしたのは復興工事の最中で、子どもたちの遊び場がなく、スポーツする機会が限られてしまっているということ。

「何より、ぼくが経験したように、町で自由に運動しながら、この豊かな自然を感じることはないということがもったいないって思ったんです。そして、それがゆくゆく町から離れてしまう原因にもつながっているのかなって」

スポーツで町を変革!22才新社会人の挑戦!/佐藤慶治くん

スポーツ先進国フィンランドへ留学

生まれ故郷がスポーツと縁遠くなってしまう…。この状況を目の当たりにした佐藤くんは「なんとかしたい」と、当時スポーツ人口が世界一と言われたフィンランドへの留学を決意。

「正直、英語なんて中学生レベルでした。でも、熱意だけは人一倍。実際にスポーツを行う人の表情や空気、その場の雰囲気は行かないとわからない。行くことにためらいはありませんでした」

意気揚々とフィンランドに降り立った佐藤くん。しかし、言語も通じず、知り合いは誰もいない状況で、大きな壁にぶち当たることに。「自分の弱い部分をたくさん知って、はじめて鬱のような状態になった」。しかし、仲間の後押しもあり、「やるっきゃない」と自分を奮い立たせた。「最終的には、インターン先から『うちで働かないか』とスカウトされるほどになりました。底辺から立ち上がった経験が宝物」と話す。

スポーツで町を変革!22才新社会人の挑戦!/佐藤慶治くん
スポーツが国籍を超えた仲間との絆を生み出した留学時代 写真提供:佐藤慶治

地域のコミュニティとしてのスポーツ

「フィンランドでいちばん変わった考えは『スポーツは競技じゃない』ということ。人と人をつなぐツールであり、地域のコミュニティのひとつなんだなって。ぼくの知らない、スポーツの顔がフィンランドにはあったんです」

それをスポーツの場が限られてしまった地元で再現したい、との思いから、南三陸で「あくてぃぶ」という活動を始めている。現在は月に一度ほど、将来的には週に何回か定期的に開催することが目標だ。

そこにいる誰もが笑顔で、笑い声が響く。男性も、女性も、年齢も関係ない。顔なじみもいれば、初めて会った人もいるーー。そんな理想は描けている。今はまだ試行錯誤の状態。それでも信念を持って突き進むから道は拓ける。

「地域のみんなで作るスポーツの”場”作り。それがこの町でできたらこの町は変わるし、日本も変わると思う」。これまでの彼の行動力を鑑みれば、その妄想が決して大げさではないことはうなずける。

最後に彼はこう続けた。

「あのとき、ああしていればよかったってもう思いたくない。だから、迷ったとき『本当はどうしたいの?』って自分自身に聞くんです。自分を軸にして出た答えに嘘はないから」

失ったもの、そして乗り越えてきたもが大きいから、言葉の重みが違った。南三陸人の強さの要因を、22才の新社会人に垣間見た気がした。

スポーツで町を変革!22才新社会人の挑戦!/佐藤慶治くん
「あくてぃぶ」活動中の一コマ。参加者の笑顔が空間のよさを物語っている 写真提供:佐藤慶治

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